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鷹崎秀司もう一つの顔4※
「何かあったのか。ってか、何があった?また飲み物引っ掛けられたか」
至の中では、以前に関係を持った子が秀司にワインや水を掛けたり、平手打ちしたりはよくあることという認識らしい。
いい気味だといいながらまた布団に潜り込む。
「もっと最悪なことですよ。あなたに言うとずっと笑い話にされそうなんで言いません」
「慰めてやるかもしれないのにな」
「そんな気持ち1ミリたりともないくせに。
まあそのうち、こちらから笑い話として教えてあげますよ」
「分かった。獲物取られたんだな?それか、いい子いなかったとか」
楽しそうに答えを探ってくる背後の人物が、先ほどまで秀司に跨って腰を振っていた彼と同一人物とは思えないほどの変わりようだ。
しつこく答えを聞いてくる至に変なことを言うんじゃなかったと後悔した。
そして、その話題から気を逸らすためわざと思い出したふりをする。
「あ、そうだ。ご褒美何がいいですか?」
「ご褒美?」
「さっき言ってたでしょ?お願い何でも聞きますよって。それとも無効にしてもう1回チャレンジします?」
「え、やだっ!ご褒美頂きます!」
「俺のできる範囲なら何でもいいですよ」
「うーん………
じゃあ、お前の行ってるバーに行ってみたい。連れてけ」
十分に考えて導き出されたものが、想像もしていなかった事で秀司はかなり驚いた。
「お前の行きつけのバー、なんか楽しそうじゃん」
「そんなの行ってくれたらいつでも連れていきますよ。あなた連れてたら可愛い子寄ってきそうだし」
「ブレねぇなぁ…」
「それより、もっとハードなプレイがご所望かと思いましたけどいいんですか?それで」
そう言うと、悔しそうな恥ずかしそうな顔をして見ていて反応がおもしろい。
「べ、べつに……いい」
「ほんとに?」
「本当だ!」
「じゃあ、来週の金曜日でいいですか?時間はそちらに合わせます。
もっとハードなプレイをがしたかったら言ってくださいね。ちゃんと勉強してきますから」
「だからいいつってんだろ!!」
至が顔を真っ赤にして言い返してくる様子をクスクスと笑い、話も一頻り終わったところで時計を見て時刻を確認する。
ここに来るときに身に着けていたスーツやネクタイを着直して帰る準備をし始めた。
「帰るのか?」
「いつも言ってるじゃないですか。帰りますよ。何かあった時お互い困るでしょ?」
「なにも困らねぇだろ?」
「あなたというより、特に俺が困るんで。ただでさえ風当たりきつかったのに」
思うところを暗に言うと、相手はこんな風に言われ慣れているのか悪びれることなく口を開く。
「最高の見返りだろ?お前結構いいモノ持ってるし」
「部長、俺にしてよかったですね。では社長、失礼致します」
「………最後よそよそしいのやだって言ってんのに」
不貞腐れたような至の言葉に応えず、最後にオートロックの音だけが静かになった部屋に響いた。
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