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第25話

九、 柿の葉寿司 #ご当地美味いものBLとかけます。 吉野川の流れの横を通る道は空いていて、ゆっくり車を流していても然程煽られることもない。 水面に春の光がキラキラと落ちる長閑な風景に思わず欠伸を噛み締めた。 向かうのは、柿の葉寿司の店。 こじんまりとした店が無骨な鉄橋の向こうに見えてきた。 「 この店で作ってるのが一番美味い 」 やけに自信満々な草太。 「 馳に一番美味いのを食べさせたい」 そう言って僕の指を叩く左手に僕はそっと指を絡ませる。 土産にするのかと思ってた僕には嬉しい誤算。 春の日差しは優しく微笑む。 狭い部屋のソファの前。 柿の葉っぱをめくりながら、 鯖だ、鮭だと言いながら二人で夕飯を済ます。 俺、お茶入れるとかいた胡座から 立ち上がる草太に、 そっか泊まらないで帰るんだと少し寂しく思う僕。 引き留める言葉を探して湯呑みを洗いかごからテーブルに置いた。 「 はー、腹一杯だよ。 風呂どうする? もう少し後にするか…… ここまで柿の葉寿司だ 」 と笑いながら首の下まであげる手に、 「 熱いからね 」 と言いながらお茶の湯呑みを渡す指。 もう少し、今夜も一緒なんだとあったかくて…… 寂しい気持ちは小さくほころぶ。

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