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第6話
影絵 海 6
法事の間に小さい雄介は寝てしまったらしく、静かな中僧侶の世間話の様な法話で事が終わる。
痺れてしまった脚を皆それぞれに伸ばしながら笑い声が聞こえる中、僕の目は立ち上がった草太を探す。草太は叔母さんから寝ている雄介を預かりながら和かに周りの人たちと会話をしている。
似合ってる、すっかりお父さんらしい草太とその愛息子、、、と母親。
横にはしっかりと元嫁の彼女が加わっていた。
食事を用意したということで、境内のお墓をお参りした後、数台のハイヤーに乗り込んで葉山のお祖父さんの家に向かった。
「 どっか料亭にでも 行くのかと思ったわ 」
「 兄さんたちが定年後こっちに住むらしくてお爺さんの家を改装したらしいぞ 」
「 え?そうなの。ついに兄さん達海の近くの別荘住まいになるのね 」
両親の会話はBGMの様に僕の頭の片隅を流れて行く。
僕は葉山の海が春近い陽光でキラキラと光っているのを見ながら子どもの頃砂浜に描いた絵を波にさらわれない様土手を作ったり水路を作ったり、草太と二人で暗くなるまで遊んだことを思い出す。
こんなところに住んでみたいな
アウトドアが好きな草太と一緒なら
と、叶うはずのない夢に苦笑した。
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