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え……何? オレ、郷野先生にキスされてる? 恐々と目を開いた凛の視線の先には確かに郷野の顔があった。 わけがわからない凛は思わず彼に問いかけようとする。 「せ、せんせ……」 口を開いた瞬間、舌先が滑り込んできた。 腕をとられて引き寄せられ、否応なしに正面が密着する。 「ん……っ」 郷野は凛の耳元に手を宛がってぐらつく頭を支えるとさらにキスを深めてきた。 クチュ、と口腔が露骨な水音を立てる。びくつく舌先はすでに絡め取られて二人分の唾液に塗れていく。 何、これ。どうして郷野先生、オレにキスなんか。 こんなの初めてで、どうすればいいのか全然わからない。 おもむろに郷野は顔を離した。 唇の狭間に唾液の糸が連なり、紅潮していた凛はさらに頬を赤らめた。 ぶれることのない鋭い目つきが一部の生徒に好評である郷野は、息を上擦らせている凛を至近距離からじっと見つめてきた。 「先生、あ、あの……どうして……」 「何だ」 密着した体は離そうとせずに、かなり上背のある郷野はやや前屈みになると凛の華奢な腰に両手を回した。 「どうしてオレにキスなんか……」 凛は中途半端なところで台詞を切った。郷野の手が、腰から、もっと下へと伸びたからだ。 「せ……先生……?」 大きな手で双丘を撫でられる。凛は真っ赤になった。恥ずかしいし意味がわからず、混乱した男子生徒は必死になって郷野を見上げた。 涙ぐむ瞳に見上げられて郷野は授業時と変わらない抑揚のない声で問いかけた。 「怖いのか、藤崎」 「え」 「別に初めてじゃないんだろ」 「え?」 「男に触れられるのは」

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