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本校舎の職員室よりも狭い教官室。
中央に五台のデスクが配置され、壁際にはファイルや書籍の詰まった棚、給湯スペースと更衣室が奥にある。
あちこちに段ボール箱が積み重なっていて室内は雑然としていた。
「ん……っ……」
そんな自分のテリトリーで郷野は凛にキスを続ける。
暗闇の中、突然の行為に最初は驚き、唇伝いに注がれる甘い熱に次第に蕩けて息を喘がせていく愛しい生徒に。
所在なさそうに自分のカーディガンを握り締めていた手が、郷野の黒いジャージを、きゅっと掴んだ。
郷野は余る袖口から指先を覗かせたその手を上から強く握った。
「……藤崎」
いつになく淫らに動く舌先に凛は腰が抜けてしまった。
ガクン、とフロアに崩れ落ちそうになった華奢な生徒を郷野はすかさず支える。
距離は近いが暗いために表情はわからない。
ただ、上擦った吐息と服越しの温もりは、いやにはっきり感じられた。
郷野にとってここは勝手知ったるテリトリー。
いかに暗闇に覆われようと教官室内の配置はその頭に叩き込まれている。
彼は凛を正面から抱き上げると障害物にぶつかることもなく自分のデスクへと運んだ。
最も片づけられていたそこに凛を座らせ、デスクライトを点ける。
「あ」
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