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「嬉しかった」 車の助手席から降りようとしていた凛の背中に郷野の言葉が届いた。 「あんな暗い中、俺に会いにきてくれて。怖かっただろう」 伸びてきた大きな手が凛の長めの髪を梳くように撫でる。 頬を赤らめた凛は完全子ども扱いされて憤慨するでもなく、くすぐったそうに笑って、答えた。 「ちょっと怖かったです、でも、郷野先生に会いたかったから」 会えて嬉しかったです、オレも。 そして住宅街の死角に停めた車の中で二人は誰に知られることなく唇を交わした。 かけがえのない愛しい生徒。 お前になら食い尽くされても構わない。

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