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春休み二日目、ファミレスにて。 凛は宮坂とランチを食べていた。 「それじゃあ、次はキョーノ先生のかっこいいと思うトコ、十個、どちらが早く言えるか競争しよう」 「は、はい」 「生徒に媚びない、目上に媚びない、目つきが最高に痺れる、黒髪が似合う、前髪の長さが絶妙、長い指がセクシー……」 早過ぎて太刀打ちできない。 凛は勝負を早々諦めてドリンクバーから注いできたオレンジジュースを飲んだ。 修了式後、裏庭で郷野への想いを正直に告白したら、宮坂は凛のことをえらく気に入った。 その後、一緒に昼食を食べ、夕方まで郷野の話を延々と聞かされ、こうして休み中にまで呼び出される間柄となった。 別に嘘はついてないけど……。 秘密の関係であったこと、途切れかけていた仲が復活したこと、凛は宮坂に当然伝えていなかった。 どうしよう。いずれ見破られそうな気がする。宮坂先輩のこの迫力ある三白眼に。 先生にどうしたらいいか相談してみようかな。 この後、郷野と会う約束をしている凛は、その郷野の魅力について熱弁している宮坂を前にし、少々上の空になった。 ドライブして、ハンバーガーかチキンをテイクアウトして、車の中で晩ご飯を食べる。 そんな前と何も変わらない時間が待ってる。 車の中で先生と一緒に過ごすの、好きだから、何を食べてもおいしく感じる。 運転してるときの横顔、鋭い目にもう少しでかかりそうな絶妙な長さの前髪、ハンドルを握る大きな手も、長い指も……うん、好きです。 本当によかった。 郷野先生がオレの隣に戻ってきてくれて……。 「それじゃあ、負けた藤崎君はベッドでキョーノ先生がかっこいいと思うトコ、二十個、言って」 凛は危うくオレンジジュースを噴き出しそうになった。 真っ赤になって咳き込み、向かい側でナイフとフォークを両手に熱々のステーキをぱくつく宮坂を凝視した。 「ほら、早く、言って」 郷野先生、宮坂先輩、もう全部嗅ぎつけちゃってるみたいです。

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