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真っ暗ではない、間接照明となるスタンドライトの弱めた明かりの中。 「ッ……んん……んーー……ッ」 お風呂上がりで上気した肌を寝具の下で全て曝し、二人は、ベッドにいた。 「先生……くすぐったいです……」 仰向けになった凛の全身にキスを繰り返す郷野。 身を捩じらせた生徒はシーツに片頬を擦らせて、不意に、満遍なく潤んだ双眸を頻りに瞬かせた。 先生の匂いがする。 先生の温もりが残ってる。 「……どうした」 胸元に口づけていた郷野が尋ねてきた。 凛は声が上擦らないよう恐る恐る唇を開いて小さな声で答える。 「……先生の匂いがします」 「……悪い、シーツ洗っとくべきだったな」 「違います、そういう意味じゃなくて……!」 勘違いに慌てた凛は思わず上体を起こしかけた。 郷野が横に退いてやれば、もぞもぞ起き上がり、必死になって回答を続ける。 「何だか、先生に挟まれてるみたいで、安心します」 「……」 「こんなの変ですか……?」 郷野に軽く押し倒されて凛は再びシーツに後頭部を沈めた。 ちょっとびっくりしている生徒の首筋に顔を埋め、押し倒した張本人は、元より低めの声色で囁きかける。 「俺はお前を抱いていたら安心する、凛」 ストレートな愛の囁きだけでも十分だというのに。 初めて「凛」と郷野に呼号されて。 切ないくらい凛の胸の奥は締めつけられた。 郷野はそのまま首筋や耳元に小刻みな口づけを落としていく。 すでに反応している性器に長く筋張った五指が絡みつくと、凛は小さく呻吟した。 いつになくぞんざいにしごかれると、広い肩に縋りつき、その肌に唇をくっつけて喘ぎ声を塞き止める。 間もなくして凛に届く、欲望に急かされた郷野の声。 「凛、もういいか」 前戯もそこそこの段階だった。 先ほどから時折自分の肌に触れる郷野の昂ぶりを感じ取っていた凛は、頬を紅潮させ、コクンと頷いた。すると。 「えっ?」 体の向きを変えられて凛はどきっとする。 皺の寄ったシーツと向かい合う格好になり、背後に迫る郷野を慌てて肩越しに仰いだ。 「後ろから、いいか」 それは今までに経験がなかった。 普段の凛ならきっと拒んでいただろう。 郷野と向かい合うからこそ、安心して、受け入れる側の負担や幾許の不安をやり過ごすことができていたのだから。 ただ、この部屋ではどこにいてもその体温や息遣いを感じることができた。 このベッドだって、窒息しそうなくらいに。 まるで全身包み込まれているような……。 「あ……っあ……っあ……っ」 後ろからという初めての体位。 戸惑いや不安が全くないわけではない凛に対し、郷野は、いつもより優しく振る舞った。 ただ、その隆起はこれまでと違う角度から、いつもより深く突き入ってきて。 凛は声を堪えるのもままならない。 郷野の体温が刻まれたシーツにしがみつき、支えられた腰だけを宙に掲げ、小刻みに揺さぶられる。 次第に速度が増すと、いやに音が。 「や……だ……せんせぇ……」 「……凛」 「もぉ、無理……っ、やっぱり……」 「よくないか?」 痙攣しっぱなしの凛の背中に覆いかぶさると、郷野は、正面に片手を回した。 「あ……!」 熱を宿したままの性器を探し当てられて凛は仰け反った。 クチュクチュと淫らな音を鳴らされて羞恥心を煽られる。 同時に、どうしようもなく、興奮した。 「このまま……いくか?」 「……っ、ベッド……汚しちゃいます……」 「そんなこと気にしなくていい」 このままいってみろ、凛。 汗ばむ背筋に口づけた郷野は握り締めた凛の熱源を再び上下に撫で擦った。 これまでに押し開かれたことのない奥の奥までペニスで貫かれ、前後を絶え間なく刺激されて、凛は嗚咽するように喉奥で甘い悲鳴を詰まらせた。 「だ……だめ……っもぉ……せんせ……っあっあ……んーー……ッ!」 真上で律動する郷野自身と、彼の匂いが刻み込まれたベッドの狭間で、凛は激しく肢体をひくつかせた。 危うげな興奮に悶絶する性器の先端を覆い尽くした掌に虚脱気味に吐精した……。 初めてのお泊まり、初めてのお家訪問、初めて名前を呼ばれて。 初めて後ろから……。 何だか初めて尽くしだったかも。 だけど一番嬉しい<初めて>は。 「……」 疲れ果てて眠りについていたはずが夜明け頃にふと目が覚めた。 覚束ない視線を向けてみれば凛のすぐ隣で郷野は眠っていた。 恋しい教師の寝顔に凛はこっそり見惚れる。 先生の寝顔を初めて見れたこと、一番、嬉しいです。

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