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「オレ、下手だけど……また、してもいいですか?」 「無理しなくていい」 「無理なんかしてません」 崩れた身なりのまま床に下りた凛は、たどたどしい手つきで、郷野の下半身に触れた。 両足の間に座り込み、柔らかな素材のイージーパンツ越しに掌を押し当ててくる。 余りにも中てられる光景に郷野はいても立ってもいられなくなり、自ら服を緩めた。 「あ……」 目の前で取り出された隆起に、自分の意志で及ぼうとしていたにも関わらず、凛は赤面した。 「別に焦らなくていい」 「……オレと先生、もう半年も一緒にいるんです。だから、これくらい……」 「まだ半年だ」 凛は長めの髪が乱れるくらい首を左右に振った。 いつまでも子ども扱いされたくないと、苦しいくらい高鳴る胸に頭の芯まで火照らせて、唇を開いた。 三学期の修了式があった日の夜。 花柄の壁紙がやたら記憶に残っている部屋で初めて至った口淫を再現する。 郷野の部屋で、郷野に感じてもらいたくて、夢中になった。 「ん……ン、ン……ン……っ」 だんだん顎が疲れてくる。 それでも中断せずに続けた。 喉奥を塞ぐような質量に何度も声を詰まらせ、鼻孔で息をしながら、小さな舌を動かす。 時に限界まで招き入れては脈打つ郷野を口内全体で確かめる。 懸命に自分を高めようとしてくれている凛の気持ちが痛いほど伝わり、郷野は、ぐっと腹底に力を込めた。 「……藤崎、もういい」 前回と同じように中断する素振りを見せた郷野に凛は咄嗟に願った。 「先生っ……このまま……」 その台詞に郷野の背筋はゾクリと粟立った。 伸ばした手でサラサラした髪を梳き、頬をなぞって、低く息をつく。 「駄目だ」 「ううん……いいんです、このまま……」 「藤崎」 床に跪いた凛は薄闇の中で淡く光って見える郷野の鋭い双眸に希った。 「郷野先生、オレは……先生の最初の人になりたいです。先生が初めて抱きしめる人に……初めてキスする人に……初めて恋する人になりたいです」 口にしたところで決して叶うことのない願いを明かした凛に郷野は胸を射抜かれた。 我が身に再び訪れた瑞々しい唇にどうしようもなく滾る。 防ぎようのない熱流が込み上げてくる。 「く……ッ」 「!!」 歯を食い縛り、喉骨を打ち震わせて獣じみた息遣いを吐き出し、郷野は達した。 小さく喉を鳴らし、凛は、呑み込んだ。 郷野の欠片をその唇奥に全て迎え入れた。 ワガママ言ってごめんなさい、先生。 それくらい先生のことが好きなんです。

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