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番外編-狼先生と修学旅行後の仔兎生徒
※この話は、郷野先生が凛の担任になっていない、という設定です
藤崎凜は一週間の修学旅行を終え、解散場所となる学校の校庭まで、空港から大型バスで同学年の生徒と共に帰ってきた。
「藤崎~、姉ちゃん迎えにきてくれっけど、乗ってく?」
「あ、俺はかーちゃん来るけど」
凜は嬉しそうに顔を綻ばせながらも首を左右に振った。
「ありがと、でも、オレも迎えにきてくれるから」
夕暮れ時、仲のいいクラスメートに手を振って学校を後にした凛。
重たいショルダーバッグを肩から担ぎ、片手にお土産の入った紙袋を提げ、通行人や車の行き来が少ない裏通りを一人進んでいく。
間もなくして行き着いた小さな児童公園。
その脇にすでに停められていた、見慣れたオールブラックの車が視界に写り込むと、凛はあたふたと駆け出した。
「慌てなくていい、凛」
助手席のドアを開けば運転席のシートに深く背中を預けていた郷野に開口一番そう言われて、凛は、赤面した……。
「京都は楽しめたか」
「はい、いろんなお寺をいっぱい回って、あ、先生にお土産買ってきました! 八つ橋なんですけど、あと、家用にお漬物とか買ってるから、そっちがよかったら交換します!」
浮ついた高揚感冷めやらぬ、いつになく大きな声を出す早口な凛に郷野は口元で小さく笑う。
「お前、疲れてないのか」
帰宅ラッシュで混み合う表通りを避けて裏道をスムーズに進む。
後部座席に荷物を置かせてもらった凛は、一週間ぶりの景色がやたら懐かしく思え、窓の外に視線を縫いつけたまま答えた。
「帰りのバスで寝たからあんまり疲れてないです」
「そうか」
そんな問答があって五分も経たない内に。
凛は助手席で寝てしまった。
時間にして三十分くらい、ぐっすり、熟睡した。
「……」
ふと目が覚めた凛は寝惚け眼で顔を上げる。
あれ、ここ、どこだろう?
ここ、京都?
……あ、違う、もう帰ってきて、先生の車で送ってもらってる最中だった。
……でも、車、停まってる?
車はまるで人気のない林道に停まっていた。
外灯もなく、ただ、辺りは暗く静かで。
戸惑う凛は隣に座る郷野に目を向けた。
「せんせ――……」
せんせい、たった四文字のその言葉を言い終わらない内に。
凛の唇は塞がれた。
すでにシートベルトを外していた郷野が覆いかぶさるようにして及んできたキスによって。
「悪い、我慢できない、凛」
最初は時間を潰すつもりで適当に車を走らせていた。
だが、信号で止まる度に視線を向ければ、すぐ隣で無防備に眠る凛の姿があって。
遠方から帰ってきて、一週間ぶりに会うことに、三十路を手前にして青少年のように心を躍らせて。
郷野は狼的本能赴くままに人目につかない場所を目指した。
「んん……っ」
目一杯後ろに倒された助手席。
すぐ真上に迫る郷野に唇だけ淫らに乱されて、凛は、か細い嬌声を喉に詰まらせる。
年上の男である体育教師の、その淡白そうな性格からは窺い知れない熱烈なる舌遣いに、ぴくぴく瞼を震わせて。
チェックのスラックス纏う足を開かされて、間に割って入ってきた、自分の正面と密着する逞しい体にどうしようもなくどきどきして。
車の中でするのは初めてじゃない。
全裸にされるベッドの上よりも、狭い空間で服を着たまま郷野と重なり合うのが、凛は、嫌いじゃなかった……。
「ぁ、っ」
黒いポロシャツの内側に郷野の掌が滑り込んでくる。
キスを続けながら素肌を愛撫する郷野に凛はしがみついた。
教師愛用のパーカーをぎゅっと握り締める。
「先生……」
木々が鬱蒼と茂る周囲、車外で聞こえるのは虫の鳴き声だけ。
車内では上擦る生徒の吐息と熱を孕み始めた教師の息遣いが静寂を濁していた。
カチャカチャと、新たな音が静寂に波紋を落とす。
凛はさらにぎゅっと郷野にしがみついた。
ベルトを外されて、寛げたスラックス前から、郷野の利き手が中へ入ってくる。
火照りかけの熱源を下着越しに緩やかに撫でてくる。
「~~……っっ」
「脱がせるぞ、凛?」
「は……はい………」
「一端、離れてくれるか」
「……」
改めて顔を合わせるのが恥ずかしく、頑なにしがみついたままでいる凛に、郷野は彼に見えないところで密かに苦笑した。
パーカーをぎゅっと握り締めていた手に手を重ね、指を一本ずつ外していく。
そうして解放された上体をやや起こしてみれば、凛は、さっと横を向いた。
薄闇の中でわからないが、その頬はきっと真っ赤に染まっていることだろう。
掌を宛がってみれば心地いい微熱が伝わってきた。
「脱がせるからな」
郷野はもう一度声をかけ、チェックのスラックスを下着ごと膝上までずり下ろした。
薄い茂みの中で仄かに色づいた性器が先端をさり気なく掲げている。
一週間の修学旅行、朝昼夜もクラスメートと一緒に過ごしてきたわけだから、当然、自己処理だってままならなかっただろう。
痛みが生じないよう、そっと、郷野は凛のそれを握った。
「ぁ、っ」
凛は横を向いたまま身を竦めた。
発熱した、僅かな湿り気を帯びた掌で緩々と揉み込まれる。
おもむろに先端の割れ目を刺激されると、ぎゅっと、不要なほどの力をこめて目を瞑った。
掌の内側で熱源をどんどん硬くしていきながら、郷野は、制服のポロシャツを捲り上げる。
再び上体を倒して、外気に曝した胸の突起へ、唇を寄せて。
淡い色味に満ちた尖りに舌先を絡ませた。
「ひゃっ、ぁ」
小さな悲鳴を上げて縮こまる凛のか弱い様子に郷野の胸は激しく波打つ。
いつにもまして大胆に、強めに、舌尖による愛撫を繰り返す。
間もなくしてクチュクチュと掌の中で水音が立ち、五指にぬるっとした雫が滴り出した。
中指の腹にそれを掬った郷野は双丘の窄まりへと運ぶ。
慎重に、ぐっと、閉ざされていた後孔を抉じ開けた。
「ぁ……ぁ、やぁぁ……っ」
「痛いか?」
問いかけたら凛は首を左右に振った。
片腕で顔の半分を隠しながらも、遠慮がちに、涙目で郷野を見上げてくる。
郷野はさらに指を中へ進めた。
第二関節まで沈め、すでに把握済みの前立腺に細かな刺激を連続して送り込んでやる。
性器と同様に硬くなりつつある胸の突起を優しく蹂躙する。
「や……ぁっ、先生ぇ……ふぅ、ぅ……ん」
触れられていない性器が独りでに震えて透明な雫をとろとろ零す。
密室にあられもない発情の匂いが充満していく。
「……せんせ……」
理性は「我が身を迎え入れさせる準備にもう少し時間をかけろ」と囁く。
狼的本能は「愛しい生徒に触れただけで完全なる熱を宿した昂ぶりをこのまま叩き込め」と叫ぶ。
いつだって郷野は葛藤しているのだ。
「……凛、もういいか?」
今夜は本能が理性を喰ってしまった。
低い天井の元で頭を起こした郷野は二人だとかなり窮屈なシートにスニーカーを脱いで完全に乗り上がる。
返事をできずにいる凛の革靴も速やかに脱がせる。
「せ、先生」
膝に下肢の服を引っ掛けたままの足を持ち上げられて凛は潤んだ双眸を見張らせた。
ジャージ下から取り出された郷野の隆起に、思わず、目を奪われる。
「悪い、我慢できない」
先生、苦しそう。
オレにそんなに感じてくれたの?
そんなに我慢できないの、先生?
……凛は、こくんと頷いた。
狭い空間は無駄に音を響かせる。
その分、病みつきになりそうな興奮も増すのだが。
「凛……」
助手席シートで凛は郷野に突き揺さぶられていた。
膝にスラックスが引っ掛かったままで中途半端に開かれた両足の狭間に、張り詰めたペニスが、打ちつけられる。
きつく閉ざされている肉壁の中央を何度も欲深く擦り上げられる。
「ふぁぁっっ……ゃぁ……っぁ」
痛みと快感で崩れる表情を隠そうとしたら郷野に阻まれた。
上体を起こし気味にして、絶え間ない振動を刻むのに集中しつつ、涙ぐむ凛に彼は言うのだ。
「お前の顔……見せてくれ」
身を繋げているというのに、まだ物欲しそうな郷野の眼差しに、凛の胸は悲鳴を上げた。
我知らず郷野をもっと締めつけてしまう。
すると、教師は飢えた眼差しに微かな笑みを混じらせた。
「……締まったな、今」
「や……っやです、先生……そんなこと……っ」
「本当に可愛いな、凛……」
誰にも渡さない、と郷野は心の中で呟いた。
律動を弱めると、膝に引っ掛かっていた服を華奢な足首から脱がしきって、自分もパーカーを脱ぎ、隣の運転席にまとめて放る。
「あ……!」
両足を限界まで開かせて上体を倒した。
正面を重ね合わせ、奥の奥まで、ペニスを捧げる。
「んゃぁぁっ……先生ぇ……せんせ……!」
凛は郷野の背中に手を回してシャツ越しに爪を立てた。
片方の膝頭が窓にぶつかって次第に赤くなっていく。
車内にこもる卑猥な熱が興奮に拍車をかけ、陶然たる眩暈を覚える中、郷野は下顎に沿って小刻みにキスを連ね、最後は柔らかな唇で落ち着いた。
「んぅっっんくぅぅ……っ」
薄目がちでありながらも健気に視線を合わせてくれる凛に想いの丈を注ぎ込む。
一番深いところ目掛けて、喉奥で一瞬だけ剣呑に唸って。
我が身を熱く包み込んでくれるそこで絶頂のひと時を満足げに過ごした……。
その後、後部座席でも郷野に溺愛された凛。
肌に飛び散った欲情の跡や、なかに注がれた分の処理にも時間を費やして、真夜中の帰宅となってしまった。
「疲れただろう」
自宅付近で車を停めてくれた郷野に、凛は、正直に頷く。
「あの、でも……久し振りだったから、えっと……」
台詞の最後はごにょごにょと曖昧に途切れた。
静まり返った住宅街の一角、エンジンを停めた車の中。
郷野は解れていた凛の髪を梳いてやり、ついでに、その小さな頭を撫でた。
「おかえり」
「……あ、ただいま……です」
「次は二人で旅行するか」
「え?」
狼は愛しい仔兎に約束する。
「お前が卒業したらな」
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