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コスプレ☆5

しばらくの間、ペタンと床に座り込んだ大型犬たちは、しょんぼりと俯いたまま動かなかった。 なんか、空気が重いんだけど。 どんよりしてるんだけど。 でも、でも!俺は悪くないっ! ・・・・・・よな? 『おーい・・・・・・・』 『おーい。玲音、咲哉・・・』 『ぉ―ぃ・・・・』 何度か呼びかけると、玲音が重い空気を吹っ切るように 俺を見て力なく笑った。 『・・・おやつにしよっか・・・。』 『そうだな・・・・』 『・・・・え?』 『待っててね、みっきー。』 『待ってろ、みー。』 2人は、そう言うと 奥の部屋へ行ってしまう。 『・・・・・・・・・・・。』 な、なんだかなー。 諦めてくれてよかった・・ハズなのに、なんだ この居心地の悪さは・・・。 でも、でも俺は悪くない・・・・・ハズ。 でもなぁ・・・なんかモヤモヤするなぁ。 こんな風になるのなら 着てやっても よかったのかな・・・・いや、でも・・・・うーん・・・ 色々 考えていたら、玲音がトレイを手に戻ってきた。 『みっきー、お待たせ。』 『今日はミルクレープだ。』 『・・・・・・・・あ、ありがと・・・』 ソファーから、ローテーブルの前に移動。 『はい。どーぞ。』 と、玲音がニコニコ笑って、オレンジジュースのグラスを俺の前に差し出してくる。 あれ?機嫌・・・直ったっぽい? なんだ、よかった。 『ありがと。』 『いーえー。はい。』 受け取ろうと、手を伸ばそうとした ───── その時。 『わー、ごめーん!』 ものすごく、ものすごく わざとらしく、玲音がグラスをひっくり返した。 俺の服に向かって。 『わーっっ!な、何してんだ!お前・・・!』 制服のシャツが みるみるオレンジ色に染まっていく。 『あれれー、ごめんねー。手が滑っちゃったぁー。』 『れおー。何やってるんだよー。』 お前ら・・・棒読みだぞ・・・。 わざとらしい・・・。 『・・・・お、お前ら・・・・・っ!』 『わー、大変だー。すぐ脱がなきゃシミになっちゃうよ、みっきー。』 『すぐ脱ごうな、みー。』 すかさず、服を脱がしにかかる2人。 『ちょっ・・・や!いいっ!いいって///!』 いつものように華麗なる早業で、あっという間に服を剥ぎ取られ・・・・ 『はい!シャワー、シャワー!』 『風呂だ!風呂に行くぞっ!』 全裸になった俺を担いで、楽しそうに風呂へと歩き出す。 『なっ・・・・ま、待て・・・待てって・・・!!』 『『待ちませ~ん♪』』 『はな・・、離せ!離せーっっ!』 『『イヤでーすっ!』』 く、くそぉ・・・! なんてこった・・・・! 少しでも悪かったかな、なんて思った俺がバカだった・・・・・・! バカだったーっっ!!!

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