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カップケーキ☆1

* * * リクエスト・『カップケーキ』 * * * ─── ある日の放課後。 今日は自分から 隣の教室・・・、玲音と咲哉のいる教室に向かうべく気合いを入れていた。 いつもは必ず2人が迎えに来てくれるから、俺から出向く事は ほとんど ない。 だけど、今日は・・・・2人に どうしても渡したいものがあるんだ。 逸る気持ちを抑え、教室を出る前にカバンを開けて 中を確かめる。 うん。大丈夫。潰れてない。 キレイにラッピングされた それを、指先で そっと撫でてから、カバンを閉め、 『よし。』 と、もう一度、気合いを入れ直して、教室を出た。 ああ、ドキドキする。 喜んでくれるかな? どうしても渡したいもの。 それは、今日の調理実習で作ったカップケーキ。 とは言っても、俺は材料を計っただけで 後の行程は、同じ班の女の子たちが ほとんど やってくれたので、俺が作ったとは言い難いんだけど。 でも、トッピングは頑張った! 玲音と咲哉の好きなものを選んで 俺のイメージで作りあげたカップケーキ。 自画自賛だけど、うまく出来た・・・と思う。 隣の教室の入り口に立って、扉を開けると、ちょうど2人が出てくるところだった。 『あ!みっきー。』 『みー。』 俺を見て、嬉しそうに笑う玲音と咲哉。 『来てくれたの?』 『嬉しいぞ、みー。』 『あ・・・・う、うん・・・///』 ど、どうしよう・・・。 渡す気 満々で来たのに、2人の顔を見たら急に恥ずかしくなってきた・・・。 『どうしたの?』 『何かあったのか?』 急に俯いた俺に気づいた2人が心配そうに聞いてくる。 『いや・・・・あの・・・・・///』 『顔、赤いよ?大丈夫?』 『熱でもあるのか !?みー!』 『ち、違うから!あ・・・あのさ・・・』 顔を上げると、クラス中の視線が自分に集まっているのに気づいて言葉に詰まる。 『うっ・・・・・・・///』 どうしよう。 こんなに注目されたら、渡せない・・・!

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