201 / 700
カップケーキ☆19
俺の呼び掛けに何も反応しない咲哉。
ズンズン歩いて、浴室へ。
そして、無言のまま、ひょいっと下ろされる。
『さ、さく・・・・』
『・・・・・・・。』
慌てて、咲哉を見るも・・・・
無表情で見返される。
『・・・・さ、さく・・・・や・・・・・ 』
マ、マ、マ、マズーい・・・・っ!
やっぱり怒ってるー!!
これは謝らなければ・・・・!
俺は咲哉に正面からしがみついた。
実は・・・・、咲哉の無表情は笑いを堪えるためであって、よく見れば その頬が ぴくぴく痙攣していたのだけど・・・・・。
その事に 俺は まったく気づかなかった。
『咲哉・・っ、ごめん・・・』
『・・・・・・。』
『ごめん!・・・咲哉、俺・・・!』
もう1度、謝ったところで咲哉の腕が背中に回された。
『いいんだ、みー。気にするな。』
『咲哉・・・・・っ!』
顔を上げようとするのを、優しく胸に押し付けられる。
『俺は怒ってないから。な?』
『・・・さ、さくっ・・・、・・・・・!』
咲哉の声が微かに震えている・・・!
咲哉もツラかったんだ・・・!
都合のいいように解釈し、感動した俺は、改めて咲哉にギューっと抱きつく。
って、ホントは ただ単に 笑いがガマン出来なくて震えてただけ、なんだけど。
知らぬが仏、なのだ。
『ははは。よし、風呂に入ろう!』
『うん!』
『ピッカピカに洗ってやるからな♪』
『あ、俺も俺も~♪』
先に浴室に入っていた玲音がニコニコ近づいてくる。
『じ、自分で洗う・・・///!』
『えー。洗ってあげるって~!』
『そうだぞ、みー。隅から隅まで!』
『アホ・・・っ///!』
3人で笑い合う。
単純な俺は、楽しくなって 自分の方が怒っていた事なんて すっかり忘れてしまったのだった。
ともだちにシェアしよう!