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文化祭☆22
『あ、あの・・・佐野山・・・、
そんなキラキラした目で俺を見ないで・・・!』
男子生徒は照れくさいのか、顔の前でブンブン手を振る。
『なんで?すごく助かったよ!』
『い、いや・・・あの・・・・その・・・・じ、実は、
このアイデアって、その・・・小早川と邑上の・・・だからさ・・・』
『え?』
玲音と咲哉の?
意外な言葉に、割り箸を刺す手が止まる。
『アイツら 今、手が離せないから “ 行ってきて ” って頼まれたんだ。』
『・・・そうなの?』
『そうなの!・・・だから、お礼なら アイツらに・・・』
と、言いかける男子生徒を遮る。
『いや!でも、忙しいのに わざわざ 言いに来てくれたんだよね?ありがとう。』
『へ?』
『ありがとう。ホントに助かった。』
男子生徒は、しばらく動かなくなって、ポカンと俺を見ていたけれど、突然 豪快に笑いだした。
『ははは!お前って・・・・!』
『な、なに?』
『いやー、いいヤツだなーって思って!』
『え?それを言うなら・・・・・』
『え?俺も?そう?・・・・そっか そっか。
じゃあ、お互い いいヤツだって事で ♪ 』
『あはは。じゃあ・・まあ、そういう事で。』
すっかり楽しくなって
ふふふ と、笑いあっていると・・・・
『佐野山くーん、バナナ。』
呆れ顔のクラスメイトに腕を突っつかれた。
『・・・・あ、ごめん。』
『あ、悪い。じゃあな、頑張って』
『あ、あの!ありがとな!』
男子生徒が、その場を去ろうと向けた背中に もう1度、感謝の気持ちを伝えると 男子生徒は 律儀にも ちゃんと振り返って手を振ってくれた。
やっぱり、いいヤツ・・・!
『アイツと仲いいんだ。』
『ん?うん・・・・・』
隣に座るクラスメイトに言われ、
今、仲良くなったんだ、と言いかけて、
はたっとある事に 気づく。
あ。
名前・・・・・・!
聞けばよかったっっ !!
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