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文化祭☆29
『さあ、みー。口、開けて?』
咲哉がチョコバナナを手に、鼻息 荒く じりじりと俺に迫ってくる。
『・・・・・・・っ・・』
こ、怖・・・・・っ!
口元だけは笑ってるものの、鬼気迫る その表情に つい、首をふるふる横に振ってしまう。
すると、みるみる咲哉の顔が 不機嫌なものへと変わっていく。
『なんだ?俺は ダメって事か?』
『え。あ・・・いや・・そうゆう訳じゃ・・・』
なんか、これ・・・俺たち3人には、よくある会話で、これを言われると 俺は弱い。
玲音がよくて、咲哉がダメな訳じゃないから。
『そうか・・・・』
さっきまでの 迫力は 何処へやら・・・いじけた顔で悲しそうに呟く咲哉を見れば、いつもの事なんだけど、なんだか悪い事をしてしまった気がして・・・。
『分かった!いただきます!』
覚悟を決めて、咲哉の持つチョコバナナに口を寄せた。
途端に、ものすごく分かりやすく咲哉の顔が ぱぁーっと輝く。
ああ・・・・・俺ってヤツは もう・・・・。
結局、こうなるんだよな・・・。
ため息を押し殺し、先っぽを口に含むと・・・
『みー、みー ♪ 噛むなよ?』
『・・・・・・ふぁ?』
玲音と同じく “ 噛むな ” と止められ、見上げた瞬間に スマホのシャッター音が鳴った。
お前もか・・・・・。
『ふはは!俺も 可愛いみー ゲット!』
『・・・・・・・・・?』
なんだか、ものすごく喜んでいる2人には悪いけど、意味がまったく分からない。
『ありがと!みっきー ♪ 』
『ありがとな!みー ♪ 』
『俺、これ 待ち受けにするー ♪ 』
『俺も そうしよう ♪』
『・・・・・・・・・??』
なんなんだ・・・・・。
何がしたいんだ・・・・?
歯形のついたチョコバナナを 嬉しそうに見つめ、「間接チュー ♪ 」とか言いながら チュッと先っぽにキスをする ご機嫌な2人。
『・・・・・・???』
俺の隣に座った2人のスマホを覗くと、( まだ変える前の )待ち受けの画面で 出てきたのは・・・・メイド服を着て、ベッドに座る後ろ姿の・・・・・え?え・・・・・?・・・俺っ !?
え?
・・・・・・あ!
これ、あの時のだ・・・・・ !!
色んなコスプレさせられた時の・・アレ !?
え?えぇ !?
い、いつの間に写真なんか撮ったんだ??
『変えたー ♪ 』
『俺もー ♪ 』
2人の声に、ハッと新しくなった待ち受け画面を見ると、一瞬で 全身が総毛立った。
加工された その写真は、俺の顔以外は 全体がぼやけた風になっていて キラキラと星やキラキラが散りばめられいる。
極めつけは・・・・チョコバナナに何故か 施された モザイク。
『──────っ !!』
ちょ・・・・っ!これって・・・・・ !!
なんか、怪しい画像にしか見えないんですけど !?
何してくれてんのっ !?
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