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文化祭☆42
午後も売れ行きは順調で、
(上村先輩や文化祭実行委員会のみんなも買いに来てくれたし)
作りおきのチョコバナナは どんどん減っていった。
そして・・・、一般公開終了の1時間前に チョコバナナも タピオカドリンクも すべて完売した。
『やったーっ!』
『売れたーっ!』
『イエーイッ!』
クラスメイトとハイタッチをして、喜びを分かち合った。
そして、そのハイテンションのまま 一気に後片付けを済ませ、すっかり普段の様に戻った 自分の席に へたりと座り込む。
お、終わったぁ・・・・
慣れない接客と、滅多に出さない大声、
立ちっぱなしだった足もパンパンで
1度 座ってしまうと・・・もう動くになれない。
疲れた・・・・
めっちゃ疲れた・・・・
でも・・・・、疲れたけど楽しかった。
やりきった達成感で 心の中は ちょっと
スッキリしてる。
あー、頑張ったな 俺。
ちょっとだけ・・・・と、机に突っ伏して 目を閉じる。
ちょっとだけ。
ちょっとだけ 休もう。
* * * * *
『佐野山~』
『・・・・・・・・・』
誰かが呼んでる・・・・
『あれ?佐野山~?・・・寝てる』
『・・・・・・・・・・』
寝てないよ、起きてる・・・・
そう言いたい。
けど、動けない・・・・
『・・・なぁ、どうする?』
困ったような誰かの声。
あ・・・・
マズいな・・・起きなきゃ・・・
そう思うけど・・・思うんだけど
眠くて・・・頭を上げられない。
『うーん。起きないよ、佐野山。』
『大丈夫 大丈夫~!』
『俺が 抱っこして帰るから♪』
『・・・・・・・?』
あれ?
この声・・・・玲音と咲哉?
『そっか、助かるよ~』
『いえいえ!お構いなく~!』
『むしろ、好都合だ!』
その声と同時に体が ふわりと浮き上がった。
『・・・・・・・わっ・・・!』
浮いた感覚に 慌てて 目の前の何かに しがみつく。
『あれ?起きた?みっきー。』
『おお。起きたか、みー。』
顔を上げれば、俺を抱く咲哉の顔と、横から覗き込む玲音の顔が・・・・。
あれ?
なんで2人が 俺の教室に?
頭の中に そんな疑問が浮かぶ・・・けれど
『よし、帰るよ、みっきー。』
『帰るぞ、みー。』
そんな俺なんて お構いなしに 咲哉が 俺を抱いたまま歩き出した。
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