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動物園デート☆5

『──あ、ぼーし!」』 男の子が 玲音の持つ帽子を見て 声をあげた。 あ。 帽子、 この子のだったのか。 玲音も 男の子に気づいたようで、にっこり笑いかけ傍まで来ると、手にした帽子を スッと差し出した。 男の子に・・・・・・・ではなく、なぜか俺に。 『・・・・・・え?』 なんで、俺に? 戸惑う俺に、玲音と咲哉は 『『早く!早くっ!』』 と、俺を急かす。 え・・・・なにこれ。 俺に 渡せってこと? 『みっきー、早くっ!』 『みー、早くっ!』 キラキラ。 期待いっぱいの 眼差しで俺を見つめる2人。 何がしたいんだ?コイツらは・・・。 よく分からないけど・・・ 早く返してあげなくちゃ。 『はい、どうぞ。』 また怖がらせてはいけない・・・と、しゃがんで しっかり目線を合わせて 帽子を被せてあげた。 『ありがとう、お兄ちゃん!』 なんて、男の子が嬉しそうに笑うから、つられて 俺も笑ってしまう。 すると・・・・・ 『小さい子のお世話をするみっきー、 かわいい~♪』 『うおおおお!なんて かわいい笑顔なんだ、 みー♪』 2人が 急に 悶絶して、いきなり 左右から ガバッと 抱きついてきた。 『おわっ!?ちょっ・・・・・/////! ──── もうっ・・・///! やめろよ!ここ外っっ////!』 いや! いやいやいや!外・・・っていうか///! 目の前に、ちっちゃな男の子と、お父さんが いるってのに・・・ 何してくれてんだっ///! 男の子は ちっちゃいから まだ誤魔化せるとしても、お父さんは・・・・! チラッと目線を走らすと、驚いた顔のお父さんが ポカンと 立ち尽くしているのが見えた。 マズい・・・・! マズいだろ、これ・・・ !! 怪しい・・・!怪しいから・・・! 『は、離せ・・・っ!離せって・・・////!』 『照れなくてもいいんだぞ?みー♪』 必死に もがいていると、咲哉が俺の耳元で囁く。玲音も一緒になって「うんうん」と頷いている。 『・・・っ!照れてるんじゃなくって! 恥ずかしいから嫌なのっ!アホ///!』 相変わらず自分に都合のいいように解釈する2人に、猛然と反撃・・・したつもりだったのに、気にするどころか・・・ 『そんなこと言って~!本当は嫌じゃないクセに~!ちゃんと分かってるんだから、俺たち♪』 へらへら笑った玲音が なんとも見当違いな事を言い出す始末で。 ・・・・アホか。 アホなのか、コイツら。 やはり コイツらには 話も通じなければ、 羞恥心というものも存在しないらしい。 ここは、もう1度 はっきり言ってやらねば。 『ちがーう !!本当に、本当に!嫌なんだってっ/// !!離せ!バカッ!』 もう限界!と思いっきり2人を振り払う。 また抱きつかれないように 後ろに じりじりと下がって行くと 『──あ、危ない!』 『あ・・・・!みっきー!』 『みー、危ないっ!!』 『・・・・・・・・・え?・・・・・なに?』 みんなの本気で焦った声に ビックリして 動きを止めた、その時。 『───うわわわわっっ!!』 背中に 冷たい衝撃が走った。 え !? な、なに !? なに・・・っ !? なに?なに?なに?なにこれ? え !?これ・・・水・・・・・・っ !? 何が起こったのか 分からない。 けれど・・・俺は 背後から水しぶきを浴びて、 びしょ濡れになっていた。

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