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動物園デート☆9
トイレを出て、借りていたタオルを返しに、売店へと向かう。
店に入ると、昼を過ぎたからなのか お客の姿はない。暇そうに大あくびをしていた店員のおばさんが、俺たちを見て 慌てたように レジカウンターから出てきた。
『タオル、ありがとうございました。』
『ありがとう!助かりました~!』
『あ、ありがとう・・・ございました・・・』
咲哉、玲音、俺の順に頭を下げると
『ああ、いいのよ そんなの。
もう、花子ったら・・・困ったもんねー。
あなた、災難だったわね~』
おばさんはタオルを受け取りながら 俺を見て 苦笑い。
『花子?あのゾウですか?』
『そう、あのゾウ。ホントに困っちゃう!』
困ったもん?災難?
どうゆう事・・・・?
聞けば、あのゾウ・・・花子(メス21才)は、自分好みの人間(男性に限る)が現れると 水をかけて 「私を見て!」とアピールしてくるらしい。その好みは 小さい子どもからおじいさんまで 幅広い・・・そうだ。
『普段は ちょっと かけられるくらいなんだけど・・・あなたは かなり気に入られたみたいだね。』
おばさんは 俺の濡れた髪とTシャツを指差して笑う。
どうやらTシャツを着替えるほど大量の水をかけられるのは ごくごく 稀らしい。
花子・・・・・・・
気に入ってくれたのは嬉しいけど・・・
勘弁してくれ・・・・・
ガックリ項垂れる俺に、今度は おばさんが咲哉を見る。
『ねえ、あなたは濡れてなかったのに 何で着替えたの?なんで 3人一緒のTシャツなの?なんか意味あるの?』
『ああ、それはですね~』
『実は 俺たち・・・』
そこまで言って、2人がチラリと俺を見た。
目が合うと、途端に ニヤッと意地の悪い笑みを浮かべる。
『・・・・・・・っ !?』
ちょっと待て・・・・・ !!
コイツら、何を言う気だ・・・//// !!
『実は、俺たち・・・3人でつきあ・・『わ────っっ!なんでもないです!あの、あの、あ、ありがとうございましたっっ !!』
とんでもない発言をしそうな2人を ぐいぐい引っ張って、ポカンとしたおばさんを見ないようにして、慌てて 売店を飛び出した。
『えー。なんで出ちゃうの~?』
『きちんと俺たちの関係を説明したかったのになー。』
『・・・っ///!う、うるさい・・・っっ/// !!』
アホか・・・・!
ホント、ロクでもない・・・・っ//// !!
油断大敵!
花子より たちが悪い・・・!!
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