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動物園デート☆11

誰かが落としたのかな? ── と、辺りを見回すけど、誰もいない。 『どうしたの?みっきー。』 『どうした?みー。』 玲音と咲哉も 傍に来て 俺の手元を覗く。 『ぬいぐるみ?』 『うん。・・・・ここに落ちてた。』 指差すと、2人は地面を見て考え込む。 『ふーん。ぬいぐるみ・・・かぁ。 落とし主は・・・小さな子どもかな?』 『だな。動物を見るのに夢中で気づかないうちに 落としたのかもな。』 『・・・・・・・・・うん。』 無意識にぬいぐるみについた砂を ぽんぽんと手で払って「あれ?」と手が止まる。 このクマ・・・見た事ある。 ぬいぐるみ・・・ 小さな・・・子ども・・・ ・・・・・・・・・・・・・・あ! 『これ・・・・!あの子のだよ!』 『『あの子?』』 『ほら!ほら・・・あの・・・あの 帽子の子!』 『『・・・あー、あの子ね(な)。』』 『うん!そうだよ!間違いない。』 『・・・そうだね(な)。』 あの子。 大事そうに ぬいぐるみを抱きしめてた。 ・・・・・・探してるかも。 いや、探してる、きっと。 『探そう、あの子!』 『『 そうだね(な)、探そう』』 勢い込んで言うと、2人も すぐに頷いてくれた。 『多分、俺たちよりは だいぶ先に進んでるはず、だね。』 『うん。』 『でも探してたら 戻ってくる可能性もあるよな。』 『うん。』 『その辺も踏まえて』 『注意して進もう。』 『うん!』 絶対 見つけてみせる。 そう決意して、俺たちは先へと歩き出した。 * * * * * * * アシカ、レッサーパンダ、ヒトコブラクダ・・・ 周囲に気を配りながら、男の子と一緒にいた男性を探す。 途中、念のため、後ろも振り返るのも忘れずに。 それに、ベンチや植え込みの後ろもなんかも確認しながら慎重に進んでいく。 見つけられないまま、 もしかしたら気づかないで帰ったのかも? なんて、ちょっとだけ不安になってきた時・・・ 後ろ姿ではあったけど、見覚えのある2人連れが目に飛び込んできた。

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