349 / 700
動物園デート☆15
ま、まさか・・・・!
こんな小さな子が、
男どーしで恋人どーし !?
いや・・・、
いやいやいや・・・!
まさか・・・・まさかな!
ない。
ないないない。
ははは。
そんな訳ないじゃーん。
一瞬、危ない思考に行きそうになって
必死に その考えを遮断する。
それから、心を落ち着かせるため、 大きく深呼吸した。
その時、
『あぁ!こら・・・!また お前はそんな事・・・
人前で言っちゃダメだって~!』
『あ、お父さん。』
ジュースを手に お父さんが戻ってきた。
『すみません、うちの子が変な事を・・・・!
男の子同士なのに仲がよくて・・・ちゅーとか変な事・・・』
『変じゃないもん!ボク、まーくん好きだもん!』
俺たちにジューを手渡しながら お父さんは
男の子を叱りつける。
『男の子同士は恋人とは言わないの!』
『えー?でもね?
お兄ちゃんたちも恋人どーしなんだよ?』
──── ぎくっ!
男の子が 俺たちを 振り返る。
『・・・・・えぇ?』
お父さんも 俺たちを見てくる・・・・けど
『こらこら!
お兄ちゃんたちを巻き込むんじゃない!』
すぐに 男の子のウソだと決めつけて怒り出す。
『でもぉ・・・・』
『でも、じゃないの!お兄ちゃんたちが恋人同士?3人で?そんな事ある訳ないでしょ?そんなの変なんだよ?』
『でもぉ・・・・・・』
『もう・・・お兄ちゃんたちは お前に話を合わせてくれただけだから。ホントは恋人同士じゃないの!』
『・・・・え・・・・そう・・・・なの?』
男の子が 今度は 悲しそうに俺を見てくる。
『・・・・・・・・・・』
なんか・・・・なんだろう・・・・
お父さんの言うこと聞いてたら・・・・
なんだか無性に カチンときた。
確かに、男同士で 3人で つきあってるなんて・・・普通じゃありえないけど。
そこまで否定しなくても・・・!
『──── 違います』
思わず 言葉が口から出た。
『え?・・・・・あ、ほらみろ!違うんだって』
お父さんが 「ほら!」って感じで男の子を見る。男の子は俯いて 何も言わなくなってしまった。
『違うのは お父さんですっ!』
男同士で・・・3人で・・・、
おかしいって分かってる。
だけど・・・・・だけど。
男の子の「好きなら恋人同士」の言葉。
シンプルだけど とっても大事なこと。
俺たちは・・・好きだから つきあってる。
好きだから、一緒にいる。
それだけだ。
『み、みっきー?』
『み、みー・・・・?』
玲音と咲哉が 心配げに俺の名前を呼んだ。
けど、2人に構わずに 俺はお父さんを真っ直ぐ見つめて 言った。
『俺たち、男だけど、3人だけど・・・つき合ってます。この子の言葉に付き合って「恋人だ」って言ったわけじゃない。3人だけど、恋人なんです』
言ってから、言ってしまってから
あぁ・・・言っちゃった・・・・・
て、ほんの少しマズいな、って思わなかった訳じゃないけど。
でも・・・・今のやり取り聞いてたら
俺たち3人の「好き」って気持ちまで
否定されたような気がして・・・
黙ってはいられなかった。
でも、まだ言い足りない。
驚きに固まるお父さんに、この際だからと
想いの丈をぶつける事にする。
『コイツら、マイペースだし、俺のことすごく振り回すし、家とか学校とか関係なくイチャイチャしてくるけど、それでも俺は咲哉と玲音が大好きなんで、―――――っ!?』
だけど・・・・俺の必死の訴えは 最後まで伝える事は出来なかった。
なぜなら・・・・・
ともだちにシェアしよう!