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動物園デート☆25
スキップのせいで、激しく上下しながら流れていく景色。早すぎて何も見えない。
『おうち、おうち、みっきーとおうち~ ♪ 』
『おうちに帰ろう~ ♪ 』
『『おうち ♪ おうち ♪ 帰りましょ~ ♪』』
調子外れな歌も、スキップも 止まらない。
『『さあ、みっきー(みー)も一緒に ♪ 』』
『う、歌うかっ!アホッッ//// !!』
『もう!照れちゃってぇ~ ♪ 』
『恥ずかしがり屋さんだな ♪ 』
『違うわっっ!ドアホッ////// !!』
どんどん進むと、人も疎らになり、
とうとう 動物園の出口が見えてきてしまった。
あ~あ、終わっちゃった・・・・
そこでなぜか2人の足取りがゆっくりになり、
止まった。
『楽しかったね ♪ みっきー』
『楽しかったな ♪ みー 』
『え?あ・・・・うん、まぁ・・・・』
最後の方、見てないけどな。
『なにが1番 よかった?』
『え?・・・ああ、俺は・・・・』
「カンガルー」って答えようとしたら
咲哉がズイッと割り込んできて
とんちんかんな事を言い出した。
『そりゃトイレだろ ♪ 』
『は・・・・・・?』
『やっぱり~?だよね?だよね?』
『あの・・・・ちょっと?』
トイレって・・・・・・・
『みっきーから誘ってくれたしね!』
『そうそう!』
『いや、違うから・・・!』
勘違いだから!
俺も勘違いしただけで誘ってないから!
『あとは、みーの熱烈な告白だな ♪ 』
『うんうん!あれは感動したね!』
『・・・・いや、ちょっと?』
いてないし。
っていうか 動物園、関係なくね?
『じゃあ今日 1番かわいかったのは
みっきーだね ♪ 』
『ああ。今日の みーも最高に可愛かった ♪ 』
『・・・・・・・・・・・・/////』
なに・・・・言ってんだか・・////
『ああ・・・今日のみっきー思い出したら・・』
『シたくなったな、また』
『あーんなコトとか こーんなコトとか』
『ありとあらゆる色んなコトを・・・な!』
『・・・・・・・・・・は?』
なに・・・・・言ってん・・・の?
『よーし!帰ろう!』
『今すぐ帰ろう!!』
──── と、高らかと宣言するなり 2人が また俺の手を取ると急に 歩き出した。
『おうち ♪ おうち ♪ 帰りましょ~ ♪ 』
『エッチ ♪ エッチ ♪ 致しましょ~ ♪ 』
すぐにスキップになり、変な歌も再開されて・・・人様の注目を浴びまくる。
『────っ っ///// !?』
ちょ・・・・・
エ、エッチって・・・///!
何を言い出した、コイツら・・・//// !!
つーか、何やらされんの?俺っ!
あーんなコトとか、色々なコトって何 !?
焦りまくる俺を見て 2人は笑う。
顔だけは 爽やかに。
(ちなみに 目は笑ってない。)
『さあ、みっきー』
『さあ、みー』
『『おうちに帰ろう~ ♪ 』』
スキップ加速。
変態スイッチの入った2人は もう誰にも止められない。
ああ・・・ダメだ、こりゃ。
ダメだって、分かってる。
分かってるけど・・・・言わせてくれ。
『イヤだぁあぁぁ───── ッッ/// !!! 』
俺の精一杯の雄叫びは、午後の澄んだ空に 虚しく消えていったのだった。
* * * * 動物園デート ☆ おわり * * * *
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