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バレンタイン☆25

『ふふふーん ♪』 『ふんふーん ♪ 』 奥で お茶の用意をしてる2人は 鼻歌なんか歌っちゃって やたらと上機嫌だ。 って、まぁ・・・ そうさせたのは俺なんだけど。 あれから必死で 言い訳しても、しても、しても・・・・!何をどう言っても、ちっとも、これっぽっちも聞いてくれなくって・・・・ 「夜は覚悟してね~?」 「朝まで寝かさないぞ」 なんて・・・言われる始末。 まー、もう いいんだけど・・・ いいんだけどさ・・・ なんか、 なんか・・・ もやもやする・・・ むぅぅ・・・ 『みっきー、お待たせ~ ♪ 』 『さ、おやつにするぞ~ ♪ 』 ご機嫌マックスの2人が ティーセットをお盆に乗せて 戻ってきた。 『へーい・・・・ 』 ちょっと いじけモードで ソファーに座り直す。 優雅な手つきで カップに紅茶が注がれる、 と・・・ふわっと 甘い香りが鼻をくすぐった。 モヤモヤもいじけモードも いっぺんに 吹っ飛ぶ。 『・・・・・っ、いい匂い・・・!』 『ふふ。でしょでしょ?』 『ショコラティーだぞー』 『・・・・ショコラって・・チョコ?』 『そうそう ♪ チョコレート~ ♪ 』 『これ、チョコレートに合うんだ』 『へぇー!』 すごい! 初めて・・・! チョコに合う紅茶なんだ・・・! 『『召し上がれ~』』 『・・・・うん!いただきまーす!』 香りを吸い込みながら、ひと口。 『・・・・っ、・・・・・苦・・・』 思わず、つい ポロリと出てしまった 言葉。 普段から コーヒーにも紅茶にも 砂糖を入れないと飲めない俺にとっては・・これは・・・苦い! チョコ・・・! チョコを食べなきゃ・・・、と テーブルの上を見るけれど、肝心のチョコレートの姿は・・・ない。 チョコに合うって言ったのに・・・ なんで ないのっ!? 不思議に思って2人を見ると、2人は ニコニコしながら 俺に向かって手を差し出した。 『・・・・っ、な・・・・なに?』 『みっきーからのチョコは?』 『・・・・・・・え?』 『あるだろ~?みーからのチョコ』 『・・・・・・・あ!あぁ!うん!ある!』 そ、そうだった・・・・! まだ渡してなかった! チョコ、つーか、ブラウニー! 走って行って カバンから ラッピングしたブラウニーを取り出す。 でも俺のって すんごい普通なんだけど 大丈夫かな・・・? 『は、はい・・・・どうぞ』 慣れないながら頑張った証し、渾身のブラウニーをそれぞれに手渡すと、2人の顔が みるみる ほころんで、ふにゃふにゃに崩れて、幸せそうな笑顔に変わっていく。 そして、2人が ギューっと抱きついてきた。 『うわあ!手作り・・っ! ありがとうっ、みっきー!』 『うわ!ホントだっ! ありがとう!みぃーっ!』 『『嬉しいーっっ!!』』 あ、よかった・・・喜んでくれた。 ホッ。

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