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黒髪の家

俺だって、バカじゃない。 というか、生きて家に帰りたい。 『わ、分かった・・・!分かったから! 手、離してっっ!』 外で3人で腕組んで歩いたら 目立つじゃん。 これ以上、人目に晒されるのはイヤだ。 俺は、ひっそり目立たず 生きていたいんだ。 『そうか?逃げるなよ?』 『ま、逃げても追いかけるけどね?』 『に、逃げません・・・。』 『お。イイ子、イイ子♪』 『ホント。可愛いねー。』 やっと、組んでた腕を離してくれたと思ったら今度は 頭を撫でられる。 ・・・嬉しくない。 というか、 ムダに背ぇ高いな・・・コイツら。 だからなのか、この威圧感は。 逆らえない、この変な感じは。 結局、腕は組んでなくても、3人で横並びに歩いているだけなのに、道行く人にジロジロ見られてしまって、俺の最悪な気分は続いたのだった。 黒髪の家に着くまで。 ***** 『着いたぞ。ここが俺んち。』 ドーン。 『へ・・・・?』 ドドーン。 目の前には、白亜の豪邸。 『へ・・・・・?』 なに、ここ・・・・っ! すっげー、でかいっ!! もしかして、すっげー 金持ち !? 口が開いたまま、ポカーンと豪邸を見つめていたら、クスクス笑う声がして、我にかえった。 『さ。どうぞ、我が家へ~。』 まるで、王子さまのように 俺の手を握った黒髪が家の中へと入っていく。 『ほえー。』 中も、すげー。 THE 金持ち、って感じ?

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