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2人の名前と、これから。
『ふーん。ま、いいや。俺は邑上 咲哉。
咲哉でいいよ。』
と、黒髪。
『俺は小早川 玲音。玲音で よろしく。』
こっちが茶髪の方ね。
『よ、よろしく・・・・・?』
別に よろしくするつもりはないんだけど。
出来れば関わりたくないんだから。
そんな俺の心を読んだのか 玲音が、
『ま、俺たちの事は これから ゆ~っくり
教えるから、ゆ~っくり知ってね?』
にっこり と笑う。
『・・・・これから?』
『そ。だって、つきあうんだから、俺たち♪』
・・・・・・はい?
『な・・・っ!それ許してないから、俺!』
反論すると、玲音が また にっこり頬笑む。
『まあまあ。ケーキ食べよ?』
口調は優しいけど、目が笑ってない。
ぐぬぬ・・・!
ここは、ハッキリさせとかないと!
俺は男とつきあう気なんかないって!
明日から 話しかけてくるなって!
そうだ!
言おう!言うぞ !?
『あのなぁ!俺はお前らとはっ・・・んっ!?』
つきあわないっ!
・・・そう言ってやろうと、勢いよく大きく口を開けたら・・・・、
玲音がフォークに刺したイチゴを ぐいっと
突っ込んできた。
『ふふ。おいし?』
『なにふるんらよ(なにするんだよ)っ!』
『おいし?』
『・・・・・・・っ!』
至近距離で 顔を覗き込んでくる玲音。
近いっ!近いから・・・・っ!
視線に耐えきれなくなった俺は仕方なく、口に入ったイチゴを噛んで フォークから引き抜いた。
それを見た玲音が満足げに(普通に)笑う。
なんだ。普通に笑えるんじゃん。
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