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イチゴ
モグモグ咀嚼する俺を、2人がニコニコしながら見ている。普通に・・・笑って。
ホッとすると、イチゴを味わう余裕が出てきた。
ん?
なに、これ・・・・・。
・・・・・・・・うっまーいっ!
めっちゃ、美味い!甘い!
今まで食べたイチゴの中で1番 美味い!
なに、これーっ♪
思わず、顔がほころぶ。
すると、今度は咲哉が「ほれ。」と、俺の目の前にイチゴを差し出してくる。
『え・・・・・?』
『俺のもやる。食えよ。』
『え、いや・・・・』
『食え。』
『いいよ・・・いらな・・・、んぐ・・・・っ!』
『俺のは食えねー、ってか?』
またしても、無理矢理 口にねじ込まれる。
そして、またしても至近距離で見つめられて・・・仕方なく、さっきと同じようにフォークから引き抜いて、食べる。
美味い・・・。
悔しいけど、美味い。
『はい。あーん。』
『・・・・は?』
何事かと玲音を見れば・・・今度は、ひと口分のケーキをフォークに乗せ、ニコニコ差し出してくる。
『な・・・っ!いいよ!自分で食べるっ!』
『いいから、いいから♪』
『ほら。最後のイチゴだ♪』
横から、咲哉もイチゴを口元に持ってくる。
『イヤだっ!やめろーっ!』
抵抗、虚しく・・・・。
結局、3人分のイチゴと
ケーキを代わる代わる食べさせられた。
目が笑ってないんだもん!
怖いんだもん!
っていうか・・・・・
なんの拷問だ、これは・・・・・っ!
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