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遭遇。

『行ってきます・・・・・。』 『気をつけてね。玲音くんと咲哉くんに よろしくね~♪』 『・・・・・|||。』 ガックリ・・・・・。 母さん・・・・。 その名前を、そんな嬉しそうに言わないで・・・。 『はぁ・・・・・・・。』 学校が近づくにつれ、気分も足取りも重くなる。 もう心が折れそう。 行きたくない。 会いたくない。 ひと言、文句は(あと、一応 お礼も?) 言いたいけど・・・ 言いたいけど・・・ よーく考えてみよう。 俺が、2人と一緒にいるところを 他のヤツらに 見られたら? 地味で普通な俺と、派手でイケメンな2人。 一緒に居たら、変。 違和感ありありだ。 変に注目なんかされたくない。 ひっそりと目立たず、空気のように生きて、 ただただ普通に、平凡に、平穏に過ごすのが俺の理想なワケで。 アイツらと居たら、そんな理想の高校生活なんて出来ないじゃないか。 それは、イヤだっっ! やっぱり今日は、会わないようにしよう。 とことん逃げてやるっっ! 決意を胸に、遅刻ギリギリで学校に着いた俺は、周りを気にしつつ、こそこそと廊下を歩く。 そして、自分の教室を覗いて、2人が居ないのを確認してから、滑り込むように低姿勢で席に着いて すぐに机に突っ伏した。 ホームルームの後と、その後の休み時間は、授業が終わると同時に、猛ダッシュでトイレに駆け込んで 姿を隠した。 そして、昼休み。 いつもは教室で お弁当を食べて、本なんか読んでるけど・・・今日はそうはいかない。 どこに 行こうか・・・・。 お弁当を抱えて廊下に出る。 ──と、前から 玲音と咲哉が 並んで歩いてくるのが見えた。

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