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第2話
大きいショッピングモール。服を何着か買って、CDショップに行ったり、いつも使ってるシャンプーが安くなってたから買ったり···本屋に寄ったり。
いつも自分の話題になるとうるさいって言うくせに、どう売り出してくれてるんやろうとか、そんなん考えてまう。買い物に行ったら必ずってほど本屋を覗いてもうて···悪い癖や。
「···うお、すげぇ」
前作より売れてて今話題にされてるからか、俺のコーナーができてた。すっげえな俺。もしかして天才ちゃうん。
「あ!賢人先生!」
「え···ぁ、泉田 さん。こんにちは」
「こんにちは!」
本屋の店員の泉田さん。俺よりも少し高い身長に、アッシュグレーの髪。それからなんと言っても人の良さそうな笑顔。絶対モテる。
泉田さんは俺がサイン会をした時に来てくれた人で、ここに初めて本を買いに来た時レジをしとって、すぐに俺やって気付いたらしい。それからは仲良くしてる。
「ここ、俺が作ったんです!どうですか!先生の魅力引き出せてますか!」
「え、ええー···俺に聞くぅ?いやでも、めっちゃすごい······感動してます。ありがとうございます」
「嬉しい!!実は実は、今までの先生の作品読み返して、こういう人にオススメとか、全部考えて······三徹した甲斐があったー!!」
「は!?三徹もしたんですか!?」
多分、泉田さんはアホ。けどそういう人がおるから、俺が今も作家として生きていられる。
「あの、よ、よかったら···なんですけど···」
「はい?」
泉田さんが遠慮がちに話し掛けてくる。何やろうって首を傾げると、目の前に出された一枚の紙。
「お、お友達に、なってほしい···です」
え、何。お友達?
それを聞いて途端に笑けてきた。
何なんそれ、あんた何歳なん。
「そんなん、もちろんですよ。これは···連絡先?」
「はい」
「えー、もう今交換しません?ほら、コード出して」
「嘘!本当ですか···もう、え···俺今日死んでもいい···」
「何言うてるんですかぁ。俺も友達増えて嬉しいわぁ」
笑ってそう言うと、ほんまに泣きかけてる泉田さんにギョッとした。
「ま、待って泣かんといて!?」
「いや、もう···感無量···」
服の袖で涙を拭いた泉田さん。すぐに人に愛されるような笑顔に戻る。
「あ、そうや!今度ご飯行きましょ。」
「行く!行きます!」
「あー、あとあれ、敬語要らないですよ。」
「先生こそ!俺はまだ高校2年なんで!」
「えっ、嘘やん!」
「本当です〜」
頭のてっぺんから足の先まで繰り返し見るけど、高校生にはまるで見えん。
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