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第7話
「健人さん!」
「あ、将斗!」
イケメンが手を振ってこっちに来る。
いややっぱりどう見てもイケメンやから、周りの人めっちゃ将斗の事見てて、正直言うて今ここに来て欲しくない。けど、約束してるから来てまうわけで。
「将斗、目立ちすぎ」
「えっ!俺普通の格好してますよ!?」
「違う、顔···顔の話。整いすぎやねんて······」
「え、びっくり。健人さんがそれ言います?」
本気で驚いてるような顔。いっぺんどついたろか。俺な将斗みたいに綺麗な顔してへん。
「肉!肉やろ!美味いとこあんねん!」
「わーい!美味しいお肉食べたーい!」
「じゃ、行こか。」
「はい!···あ、健人さん!俺、昨日やっと健人さんの新しい本を読み終わったんですけど、感想言ってもいいですか」
「待って嘘やろ。今?···えー、怖。感想言ってくれんのは嬉しいけど···今?」
「ご飯中?後?いつでもいいけど、伝えたい欲が半端ないです」
キラキラした目で伝えてくる将斗。いや、ご飯中は嫌やし、後にショックな事言われてそのまま帰るのも嫌。今のうちに伝えてもらってあとは楽しく過ごす方が絶対ええよな。
「今···今でいいです。お願いします···」
「じゃあ率直に言うと···あのお話は、テレビで言われてるような感じじゃないように思いました。なんか···テレビではフィクションみたいな感じで言ってますけど、違いますよね。今までと感情の入り方が···より深くなったように思って······」
驚いて足が止まった。
何でそんなんわかるんやろう?俺って、そんなわかりやすく書いてたんやろうか。
「······そんなわかりやすかった?」
「いえ···初めは言われてる通りなのかなって思ったんですけど、2回目読んだあたりから違和感感じて、3回目でそうなんじゃないかって」
「さ、3回も読んだん!?」
「読みますよ!だって···惹き込まれました。切なくて、主人公がこれからどうなってしまうんだろうとか、後の世界まで想像してしまうんです。」
止めてた足を、ゆっくり動かす。
心臓が何故かバクバクとうるさく鳴ってる。
「······あれは、ほんまにあったこと」
「···やっぱり、そうだったんだぁ。じゃあ主人公のモデルさんは今はどうされてるんですか?······あ、こんなこと、聞いちゃダメですよね。ごめんなさい!」
申し訳なさそうに謝った将斗を振り返って、腕を広げた。
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