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第7話

秀の部屋からは物音もせず、出てくる気配もない。 鈴も自分の部屋へ行きたかったがその為には秀の部屋を通らなくてはならない。 鈴の部屋は秀の部屋の奥にある。 秀が言うには、発情期になったら匂いがもれないように玄関から遠く、尚且つ自分がしっかり見張れるようにという理由からだそうだ。 オメガは猛獣なのかと勘違いしそうになるが発情期中はただの獣に成り果てる。 鈴はリビングにあるソファに寝っ転がり、今後のことを考える。 「秀のこと。ちゃんと好きなんだよ。でも…。」 自分たちの家族より永い時間を共有した秀。 今日あったばかりの"運命"で繋がってる慎。 俺達の最善は? ____ 「鈴、起きて。」 いつの間にか寝ていたらしい。辺りは真っ暗だ。 いつもと変わらない秀の優しい声。 秀は起こそうとしている癖に俺の頭を撫でている。 「やっぱり、渡せないよ。」 ポツリと呟いた。 何の事かは聞かない、聞けない。 仕方なく、鈴は眠い目をこすりながら起き上がる。 「秀…。」 「ふふ。もう、晩御飯の時間だよ?お風呂入ってきて。俺はもう入ったから。」 にこやかに彼は笑った。

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