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第9話
「ご馳走様でした。美味しかった!」
「ふふ。鈴はいつも美味しそうに食べてくれるから作り甲斐があるよ。」
「じゃあ、皿洗うね。」
料理を作ることはできないが、皿洗いは鈴の仕事だ。
初めはそれもさせて貰えなかったが、頼み込み、渋々許可を得た。
「今日は俺がやるよ。ね?」
秀が突然言い出す。
やってくれると言うなら、ここは任せよう。
「じゃあ、お願いします。」
「はーい。鈴はソファにでも座ってて。」
カチャカチャと皿が重なる音がする。
料理に関わる音は家族がいる感じがして特に好きだ。
俺も家事が出来れば、母の手伝いが出来たのに。
…そういえば、彼はどこに住んでいるのだろう。
また、会えるのだろうか。
___会いたい。
突然ヒヤリと冷たいものが鈴の首に当たる。
「…何、考えてるの?」
低い声。
首元に手があった。
カチャっと首輪が外れる。
付けっぱなしだったことを忘れていた。
「あぁ、ありがと。」
「質問に答えてないけど?」
秀と目を合わせる。
「…ぁ…ぇ…?」
ズクンと体の芯が溶けだす感覚がする。
この感じ……
秀がスーっと匂いを嗅ぐ。
「はー、いい匂い。ゾクゾクする。発情期、だね。」
__発情期?
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