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第18話
身体が思うように動かない。
「ぁ……、ぅ……。」
言葉を発したくても意味をなさない音しか出てこなかった。
瞼を開くと見覚えのある部屋。
慎の部屋であることに安堵した。
酷い痛みを感じた時、部屋には自分以外誰もいなかった。
経験したことのない痛み。
「あぁ、起きたんだね。」
慎が頭を撫でてくれる。
それと同時に唇に柔らかい感触がした。
番がいる場合、触れるだけで気持ち悪くなったのに。
気持ち悪くない。
「良かった。成功したんだね。」
声を発したくても出てこない。
こわい。聞きたくないと本能が叫ぶ。
「ごめんね。”首輪”を外すことが最善だった。鈴の身体に異常が出ても……。」
確かに身体は辛いが、それ以上に別のもの”本能”が満たされていく。
けれど、心が冷めてゆく。
秀は?
秀はどうなってしまったの?
「大丈夫。彼は居るよ。」
忌々しいことにねと彼は告げた。
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