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第19話
シュウは居るよ。
___ペットとしてね。
え?
「そこに寝っ転がってる…って、動けないか。」
彼は鈴を抱え、歩き出し、止まった。
そこには焦げ茶色の毛布が無造作に掛けられた秀がいた。
「これは、ペットのシュウ。いい、ペットだよ?こいつは僕の運命を掻っ攫ったんだから。」
許さないと彼は呟く。
「番は解消。勿論、彼も承諾したからね。この位置も彼が望んだの。」
何かが壊れる。鈴の身体が震えだす。
「どんな形でも良いから鈴の側に居たいって…」
歓喜で鈴は震えた。
「愛しい夫は僕だよ?忘れないで。」
大丈夫だよ。俺はふたりとも"愛してる"から。
「本当は僕だけがいいんだけど。そこは追々……ね?」
「……ぅ、んぅ。」
下から声がする。
シュウが起きたみたいだ。
「あーぁ、起きちゃった。ほら、愛しの鈴だよ。」
慎がシュウの近くにあるソファにおろしてくれる。
「っ!!リン、リン!!」
シュウは鈴の首元に鼻を近づけ、匂いを嗅ぎ、ペロペロと首筋を舐める。
「おい、いい加減に止めろ。」
慎がシュウを蹴飛ばす。そこには明確な上下関係が植え付けられていた。
僕の可愛いペット。
大事にするからね。
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