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第5話

ダメだ、もう少し我慢しろ。 秀彦の頭の中ではその言葉がぐるぐると回っていた。たった一言を聞くまでは。 「オレは、秀彦のこと…すっげえ大好きなのに…っ!」 その言葉を聞いた瞬間、何かがぷちっと音を立てて切れた。 「お前の事好き過ぎて、もう限界」 涙の伝う頬を押さえ込み、半ば強引に唇を重ねる。驚いて開いたままのそこから自身の舌を浸入させて、逃げる雄介のものを絡め取る。 合わせた掌に力が込められて、同じように握り返すと、雄介の体からふっと力が抜けた。それに気付いた秀彦が、ゆっくりと唇を離す。 「ふぁ…な、に…あれ、夢…」 「なワケあるか」 「………え?」 額に掛かる前髪を払ってやり、そこに唇を寄せる。先ほどの行為とは全く違い、それはとても優しいものだった。 当然それに困惑する雄介が大きな瞳をぱちぱちと瞬きすると、ため息を零した秀彦が雄介の胸元に倒れ込んだ。 「えっ、あの、秀彦!?」 「あのさ、なんか勘違いしてるみたいだけど…おれ、めっちゃくちゃ好きなんだからね?」 絡めた指先の感覚に戸惑いながらも、ただされるがままの状態でいる雄介。頭の中で今自分に起きた事を必死で考えていた。 夢じゃないのなら、これは現実で。 何かは分からないけれど、秀彦は何かを我慢していて、でもそれは自分といる事ではないみたいで。 それは、つまり。 「オレの事、まだ、好き…?」 「まだってなんだよ、ずっと好きに決まってんでしょ」 「だって…じゃあ、何を我慢してんだよ?」 その言葉にガバッと顔を上げた秀彦が、あー、とかうー、とか唸りながら天井を見上げる。しばらくの間宙を彷徨っていた視線が、雄介に落とされた。 秀彦に見つめられて、一気に上がる雄介の心拍数。けれど、それを逸らす事は出来なかった。 「…おれも男だしね、好きな子とはいつでもエッチしたいの」 「なっ!え…っ、ちょっ……ええっ!?」 繋いだ手とは反対の手で雄介の熱い頬を撫でる。そのままするりと首筋に触れると、ぱくぱくと雄介の口が動いた。 かああっと紅くなっていく頬に唇を寄せ、耳たぶを甘噛みする。 「ひぁっ…な、に…」 「遠慮なんか無しに、お前のことめっちゃくちゃに抱きたいんだよね」 「…えっ、………えぇーーっ!?」 そう言って笑った秀彦は、今まで雄介が見たこともない顔をしていた。

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