34 / 35
第34話
ついさっきまで硬かった一物は萎えたが、前立腺への刺激は終わっていない。
「あ、だ、だめって……ッ……」
「そんなにイイのか、ここ?」
「試して……みるか……?」
省吾がヤケクソ気味に言うと、楓はふっと笑った。
会社の女子達に騒がれるだけあって、美しくて爽やかで、それでいて艶めかしい笑みだ。
「いや、遠慮しとく」
「……ま、そうだよな」
「ん?」
「アンタが組み敷かれてるのって、想像できない」
そういうものだろうかと楓は数瞬考えるが、確かにピンとこなかった。
省吾になら突っ込まれてもいいと思うが、なんだかそれは2人のあるべき形ではないように思ったのだ。
「リング……気に入ってもらえてよかった……」
省吾が楓の左手のリングに触れると、理性が崩壊する音が聞こえた気がした。
「お前……煽るじゃねーかよ?」
もう少し後孔を解してから挿入しようと思っていたのに、どうにも持ち堪えられそうにない。
だが無理にこじ開けて挿れてしまったら、痛い思いをするのは省吾の方だと分かりきっている。
楓は自分の一物に自分の手で触れると、それを上下に扱き始めるが、そうしているうちに省吾に手首を掴まれた。
「もう大丈夫だから、挿れろよ」
「けど……」
「アンタの形、ちゃんと覚えてる。大丈夫だ」
省吾はベッドサイドに置いたコンドームを手にすると、それを口に咥えて片手で包装を剥がし、楓の手を避けて彼の性器にゴムを装着してやった。
「なんか……出会ったばっかりのお前って、もしかして別人だったのか?」
「そんなワケないだろ、同一人物だ」
「あんなにつっけんどんだったのが、ゴムまで装着してくれるようになるなんてな」
軽口を叩きながら省吾を押し倒し、両脚の間に割って入ると、彼の太腿を持ち上げて後孔にペニスの先端を押し当てる。
「痛かったら言えよ」
セーフティーセックス。
楓が男同士で繋がるために調べた、ネット情報だ。
ナカ出しはしない、無理な挿入もしない。
追い求めるものは己のみの快楽ではなく、相手の快楽もだとあった。
「ッ……」
省吾は少しだけ息を詰めた。
挿入されることには慣れているが、カリの部分を受け入れるまではいつも少しだけ苦しいからだ。
「あのさ、お前のナカ、スンゲー蠢いてんだけど、どういうこと?」
こんなにぎゅうぎゅう締め付けられるのが初めてなだけに、楓は戸惑う。
「知るか……ッ……楓さんが……巧いんだろ……」
「俺ってば、そっちの才能もあった?」
「っるせ……あぁんッ……、あ……やだッ……!?」
ともだちにシェアしよう!