62 / 199
第62話
高校、大学と受験する時は勉強も教えてくれたし、塾にも通わせてくれた。
自分が出来なかったことだからと、とにかく何でも協力してくれた。それに見合う結果を出す事が使命だと思った。
菫との日々はかけがえのないものだ。彼がいたからΩでも、親に捨てられても、腐らずに生きてこれた。
「そうか……。じゃあ、たまにでいいからうちに遊びに来ないか? オレも遊びに行くから」
「……藍? どういう意味?」
「だから、つまり……」
あー、うー、と唸る藍に首を傾げると肩をぎゅっと掴まれ、急に深呼吸を始めた。
「ちゃんと付き合いたいって意味」
「……ちゃんと?」
意味が分からずじっと藍を見ていると、みるみるうちに顔を赤くしていく様子に永絆はとても珍しいものを見た気分になった。
藍が照れている。今までそれなりに色んな表情を見てはきたけれど、こんなに真っ赤になって落ち着かない藍を見るのは初めてだ。
「αもΩも……運命もとりあえず置いといて、オレと永絆、二人で一緒に始めてみないか?」
「……なに、を……?」
二人で居ることには常に性別や体質、家の問題が付き纏う。
その全てを『とりあえず』置いておくだなんて出来るとは思えない。必ず誰かが止めに入るのは予想がつく。
ともだちにシェアしよう!