92 / 199

第92話

 何度も口唇を重ね、永絆の肌を藍の舌が這い、胸の粒を食まれればビクンと背中を弓なりに反らす。嫌ではないのに首を横に振っては、ヤダと掠れた声をあげ啼くと更に下から突き上げられ声さえ出ない快楽に埋め尽くされる。 「はっ、ああっ……!」  何度も突かれるうちにある箇所を藍の熱が掠めた。その瞬間、電流が永絆の身体を走り抜けビクビクと全身を震わせた。 「やっ、そこっ……」 「……ん」 「あっ、やっ、ダメっ……」  一度見つけた永絆の敏感な箇所を執拗に突いては、逃げようと身動ぐ永絆を抱き包む。何回も永絆の名前を呼び貫く楔に、永絆の意識が白くチカチカと点滅し始める。 「永絆……永絆……。噛みたい、今すぐ……」  まるで本に出てくる吸血鬼のように永絆の首筋に歯を立て甘噛みをしては息を荒立てる藍に、飛び飛びになる意識を戻してはその返事を模索する。  発情期じゃない今、噛んでも番は成立しない。ならば、藍の望むがままにして欲しい。例え、後でその行為に虚しさを感じてもいいから。 「は、あ、あいっ……」  藍の動きが一際速くなる。お互い限界が近いとわかり、永絆は途切れ途切れになりながらもその答えを何とか告げようと藍を抱きしめる。 「藍っ……んっ、あいっ……」 「永絆っ……もうっ……」 「あっ、待っ……藍っ、かん……噛んでっ……」  精一杯振り絞った声を聞いた瞬間、藍の歯が思い切り首筋に痕をつけた。 「あ、ああっ……」  痛みと快楽の両方を与えられ、永絆の欲が吐き出される。その中にドクリと熱いモノを感じて、藍も達した事を知ると意識は真っ白になった。

ともだちにシェアしよう!