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第121話

「何度でも噛んで、発情期になったら番になろう。もう周りなんてどうでもいい。オレは永絆が居れば何もいらない。他の奴と番になんかさせない」 「藍……」  藍の目は本気だった。永絆のシャツのボタンを一つ一つ丁寧に外していきながら、何度も永絆の名前を呟いた。  永絆は金縛りにあったように動けないまま、シャツのボタンを全て外し終えた藍が永絆の胸に顔を埋めるのを受け入れ、そっと藍の頭を腕で包み込んだ。  彼にここまでさせたのは自分なのだと思うと抵抗も文句も何も出てこなかった。  ここまでするくらいに愛されているのだと知り、目頭が熱くなった。  こんな彼を拒むだなんて出来やしない。心底惚れた相手なのだから。  だけどこの部屋にずっといるなんて事は無理だ。二人して音信不通になれば紫ノ宮家の人間が大騒ぎして藍を探しに来るだろう。出来れば大事にはしたくない。  藍を今、この部屋で受け入れて藍の気の済むまで抱き合って、項も好きなだけ噛んでくれて構わない。どうせまだ発情期ではないし、それだって最近は正常に来ていない。  一晩、藍の望むがままに愛し愛されたら藍も落ち着いて考え直し、帰ろうと言うかもしれない。言わなくても自分が柔らかく説得すれば聞き入れてくれるはずだ。 「永絆……二人だけで……ずっと一緒にいよう……」  少し哀しげな口付けを交わして、永絆は瞳をゆっくりと閉じた。

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