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捌章 第123話
一晩中、求められその全てを受け入れ混ざり合った。
何度も名前を呼び、抱き締め、深く口付けては激しく揺られ、欲の全てを出し切るまで溶け合った永くて閉鎖された一夜が終わると現実が待っている。
まだ目を覚ましたくない。隣で眠る藍の温もりを感じたままずっと眠っていたい。もし、許されるのなら目覚めた後もまた繋がりたい。
そうやって時間を忘れて過ごしていたい。
そんなことを夢の中で考えては泡のように消えていく願いを虚しい瞳で見送った。
カーテンを締め切っても遮る事の出来ない程の陽の光が射し込んで来て、眩しさでとうとう目を開けた。どのくらい眠っていたのか、身体中が軋むように痛い。
隣にいたはずの藍の姿がなくなっているのに気が付き、軋む身体を起き上がらせると昨晩の行為の名残りはすっかり綺麗に拭き取られシャツを一枚着せられていた。そんなことにも気が付かない程、疲れきって深い眠りに落ちていたのだろう。
リビングにいるのかもとベッドから足をフローリングに下ろすと、ジャラリと金属の音が右の足首からした。
「え……」
身体の痛みで気が付かなかった。自分の足首に鎖が巻かれ、その鎖はベッドの柵にがっちりと巻き付けて施錠されていた。
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