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第124話
一体どうなっているのか頭が回らず、とにかく藍を見つけようと立ち上がり鎖を引き摺りながらドアへと向かう。ドアノブに手をかけ開けようと試みて、更に永絆は混乱した。
ドアには鍵がかかっており、こちら側からは鍵穴がない。何度かガチャガチャと開けようとしたが永絆の力では開けることが出来なかった。
諦めてドアを背に座り込む。部屋を改めて見渡すと自分が着ていた服も荷物も部屋には無かった。藍が違う部屋に持って行ってしまったのだろう。
一人きりで鎖に繋がれたこの状況に心細くなり体を丸くして抱きしめた。
昨夜は藍との行為に夢中で気が付かなかったが、この部屋にはもう一つドアがあった。リビングへ続くドアと同様、こちらも恐らく鍵が掛けられているだろうと永絆は予想したが確かめる為にもう一つのドアの前まで移動した。
ドアノブを動かすと予想に反して鍵は掛かっておらず簡単に開いた。中をそっと覗くとそこはトイレやシャワーが備わった浴室兼洗面室になっていた。
「……ここで暮らせってことか……」
鎖の長さも丁度、その浴室の端まで行けるだけの長さになっている。備え付けの棚には真新しいふかふかのバスタオルが何枚も入っていて、着替えは無かった。例え鎖を外せても今着ているシャツ一枚で外に逃げれば不審者扱いされてしまう。そもそも鍵が開けられない限り外には出られない。
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