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第134話
――そうだから、これは仕方のない事なんだ。
日にちの感覚はとうになくなっていた。
藍が買ってくる食べ物と飲み物を寝室で食べて、後はベッドの上で過ごした。
何度も藍を受け入れ、その種を奥へと注がれ、注がれる度に項に痕を残された。古い痕から薄くなって消えていき、種は実を結ぶこと無く毎日は過ぎた。
永絆が予想していたより紫ノ宮家が二人を見つけるのには時間が掛かっていた。それでもタイムリミットは刻一刻と近付いている。いつか見つかると分かっていてこの部屋に繋がれ続けた。藍がいれば他に何もいらなかった。
このままずっと見つからなければいいと思った矢先、藍が食料を買いに行っている間に二人の時間は終わりを告げた。
紫ノ宮に雇われている者達が数人、ドタバタと音を立てて鍵の閉まっている寝室に入って来た。永絆は特に慌てる事もなく、寝そべっていたベッドから起き上がった。
リビングに置かれていた永絆の荷物を手渡され、永絆は「シャワーだけ浴びたい」と告げて浴室に入った。
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