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第135話

 迎えに来た者達が永絆の足首の鎖を見て驚いた顔をしていた。恐らく永絆が藍を唆したのだと思われていたのだろう。実際は藍が永絆を閉じ込めていたのだと分かり、困惑していた。  シャワーを浴びながら、永絆は静かに涙を流した。シャワーヘッドから溢れてくるお湯で泣いていることがバレないように、声もなく泣いた。項に残された噛み跡が少し痛むけれど、今の心の痛みに比べたら何でもなかった。  涙をすぐに止めてから、この部屋に連れてこられた時に着ていた服を着て浴室を出る。待っていた者達の一人が足の鎖を外した。これで自由になったのだと喜ぶべきなのに、少しも嬉しくはなかった。  その後は彼等に連れられて車に乗り込み何時間も走った。  途中で今日の日付けを聞くと、一ヶ月半が経っていた事がわかった。  あの部屋では時間は存在しなかった。お腹が空けば食べて、眠くなったら眠るだけ。夢の様な時間だった。  鞄の中に入れていた携帯はキッチンのシンクで水浸しにされていたからそのまま置いてきた。藍がやったのだろう。GPS機能は元々入れていなかったから探すのに時間がかかったのかもしれない。今となっては携帯などどうでもいいのだけど。

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