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第139話

「……訂正して下さい」 「なに?」 「オレは別になんと言われても構わない。でも菫さんは違う! あの人は番った相手をずっと愛してたんだ!」  もう二度と会えないのに、死ぬまで番を思い続けていた。お金を受け取ったのは少しでも番との繋がりを残しておきたかったからだ。楽をしたかったからではない。 「番に捨てられる辛さはΩにしか分からない……。番った事もないくせに菫さんを悪く言わないで下さい!」  項の噛み跡をいつも愛おしそうに触れていた菫の儚い笑顔を思い出す。  彼にとって番が解消されても、その痕は大切な宝物だった。  自分の項にも沢山の噛まれた痕が残っている。藍が毎日必ず噛んでいたからなかなか傷が治らない。 「調べたなら、オレが彼の遺産を相続した事も知ってますよね? だからお金はいりません。お金が欲しくて藍の傍にいた訳じゃないんで」  悔しい。苦しい。泣きたい。  沢山の負の感情が渦巻いて暴れ出したかった。

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