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第149話

 溜息をつくと白い息が空気に溶けていく。冬の空気は凍てついているけれど、とても澄んでいて肺の中が綺麗になった気がする。  外階段を登って二階の一番手前が今の住処。ドアノブに手をかけるとガチャリと古い音がしてドアが開く。部屋の中の温度差で身体が痺れる。 「ただいま」  肩や頭に積もった雪を払って靴を脱いでいるとリビングに続くドアが開いた。 「おかえり、永絆。寒かっただろ?」  そう言って永絆の身体を優しく包み込んだのは他ならぬ魂の番である藍だった。 ***  何もかもを諦めて極寒の地へ辿り着き、一週間が過ぎた頃に気が付いた。  自分の身体の異変に。  最初は色々あった疲れから来るものだと思っていた。そうであってほしいと。  しかし自らの身体を風呂上がりや着替えの際に見る度にそれは確実なものになっていった。

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