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第151話

 目の前の現実に思考が追いつかないまま、とにかく藍を部屋へ入れて暖かいお風呂で冷えきった身体を温めさせた。  熱いお茶を淹れ、十分に藍が温まってからようやく話をしようと口を開くと同時に強く抱き竦められ言葉をなくした。  藍の匂い。藍の温もり。藍の力強さ。  何もかも全て鮮明に憶えている。忘れるはずがない。  堪らなく愛しくて、どうしようもなく惹かれる、運命の人。  どんなに離れていても思わずにはいられない、愛しい人。 「藍……」  藍の指先が永絆の項を撫でた。噛み跡を辿るようにそっと。 「消えてない……」 「藍、これは……」  別のαに噛まれたんだと嘘をつくことも出来た。藍の為にはそう言った方がいいはず。なのにその言葉はどうしても言えなかった。 「俺の……俺の番に……?」  温まった筈の藍の手が小刻みに震えていた。何度も項の跡を指で確認しながら、永絆の答えを待っていた。 「藍、ごめん」 「なんで謝る? 俺は嬉しいのに」 「番が成立したなんて分かれば藍の立場が悪くなる……」  藍を守る為に身を引いたのに、まさかの番成立で藍を困らせる事になる。

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