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第152話
解消するには藍が他の誰かを抱く事だけで済む。今、彼は勢いでここまでやって来ただけだ。きっと直ぐに連れ戻されてしまう。その時に藍が責任を感じたりしなければいいのに。
「立場なんてもう気にしなくていいんだ。全部捨ててきた。もう俺には紫ノ宮の名前はない」
「な、に言ってるの? そんな簡単に捨てられる訳ないって……一ヶ月半一緒にいて分かったでしょ? きっとまた連れ戻される。藍が何度捨てても、捨てられないものだってあるんだよ」
これ以上、藍と共に居ればまた別れの辛さを味わう事になる。もうあんな痛みは嫌だ。次にあの痛みを受けたら立ち直ることが出来なくなる。
「だから、早く誰かに連絡して迎えに来てもらってよ……。オレが唆したって思われたら面倒だし、もう二度と会わないって決めたんだから」
藍と居ると、何度も嘘をつく事になる。
本当は逢えて嬉しくて今すぐ抱き締めたい。その肌に触れて、自分の奥に入って来て欲しい。離れたくない。離されたくない。
だけど出来ないから嘘をつく。もう会わないと、迷惑なのだと嘘をつく。
「今度は連れ戻しに来ないよ」
髪にキスを落とした藍が優しく微笑む。その綺麗な笑顔に見惚れて目が離せない。
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