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第153話
「結婚もしない。紫ノ宮の跡も継がない。援助も何もいらない。だから永絆と一緒にいさせてほしいって父親に直談判した」
「そんな……でもっ、許すはずないよっ」
「そこまで言うならやってみろってさ。どうせ世間知らずの温室育ちが援助もなしに生きてはいけないのだからって。すぐに音をあげて帰ってくるだろうって言われたよ」
永絆の項を何度も撫でて、藍は静かに微笑む。
もう誰が何を言おうと藍は引き下がらない。その微笑みの中に強い決心が見えて永絆は拒む言葉を紡ぐのをやめた。
本当に藍が自分と一緒にずっといる気なのならば、これ以上の喜びはない。番が成立した今、藍と共にいることは自然な事でこの先最悪なことが起こっても構わないからそばに居たいと思わずにいられなかった。
「オレは藍を独り占めしていいの?」
紫ノ宮藍という立場のαではなく、魂の番としての藍を。
この先の未来までずっと独占したい。誰にも渡したくない。醜いと思われたって構わない。もう藍なしでは生きていけないと、項が熱く疼く。
「俺も永絆を独り占めしたい」
「……オレはずっと、藍だけだよ」
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