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第158話
「それで、風邪だったのか?」
工場はシフト制で平日が休みになる事が多い。
外から帰宅した永絆を温かい部屋で向かえた藍が「やっぱり一緒に行けばよかった」と心配して永絆の額に手を乗せ熱がないかを確かめた。
「休みなんだからゆっくり休まないと。病院くらい一人で大丈夫だよ」
数日前から微熱と倦怠感が続いていた永絆はそれを藍に悟られないように気を付けていた。藍はとにかく永絆の事となると過保護で、永絆の体調が少しでも悪いと仕事を休むと言い出す。以前、風邪を引いた時もそうだった。それでは迷惑がかかるからと説得して仕事に行かせるが、休憩の度に電話をしてくるので仕事にならないのではないかと気が気ではない。
だから今回、少し体調を崩している事をバレないようにしていた。藍が仕事に行けば一人でゆっくり休むようにして、帰宅したらいつもと変わらない様に振る舞った。
しかし昨晩、貧血でも起こしたのかフラリとしてその場に座り込んでしまった。丁度、藍が帰宅して夕飯の準備をしている時だった。
今すぐ病院へ行こうと慌てる藍を何とか落ち着かせ、翌日朝から診察を受ける約束をした。藍は納得いかない顔をしていたがすぐにふらつきも落ち着いたので早めに就寝して、今日病院へ行ってきた。
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