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第190話

 藍の様な周囲を魅力する術は持ち合わせてはいないけれど、少しずつ確実に、自分の出来る力で藍の支えになっていきたい。  藍が望む、Ωの生きやすい社会のほんの一欠片だけれど。  番である事を誇りにして、これからも藍の傍で見つめ続ける。藍が世の中を変えていく姿をしっかりと目を見開いて記憶し続ける。  それが永絆の出来る事。小さな事だけれど、いつか実になればいい。  これからはそうやって家族を守りながら生きていこう。  寝息をたてながら眠る我が子を見つめながら、そんな風に考えていた。 *** 「永絆?」  部屋の扉をノックする音と共に藍の声がした。  ベッドの上でシーツにくるまったまま、永絆は小さく「おかえり」と返事をする。  ずっと忙しくて夜遅い帰宅だった藍がいつもより早く帰宅したのは自分のせいだと思うと申し訳なくなる。頑張って家の仕事と学業を両立させている藍の足でまといにはなりたくなかったのに。 「具合が悪いって? 熱は?」  扉の向こうから心配する声に「大丈夫」とだけ答えた。

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