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第197話

「ふっ、う、んっ……」  熱く蕩ける中に番の楔がどんどん進んでいく。乱暴でもなく、かと言って優しすぎる訳でも無い。欲望と愛情に満ちた強さ。 「愛してる……永絆、お前だけが俺の全てだ」  もう何回も伝えられてきた愛の言葉。何度も何度も、行為の最中も、毎日の挨拶の中でも告げられた藍の気持ち。  その度に恥ずかしくなって、「うん」としか答えられずにいる永絆をそれでも優しい眼差しで見つめてくる藍。  ああ、でも今日は素直に言えそうな気がする。  発情期の勢いを借りて、「うん」以外の言葉で藍に伝えられる。そんな気がする。 「藍……藍、藍……あい……」  名前を呼ぶ度、愛おしさが増していく。だから藍は何度も自分の名前を呼ぶのだと気が付き、余計に愛しさが募った。 「はっ……あっ! あっ、あ、やっ……あ、いっ……」  最奥へと到達した熱が永絆の中を抉る。その過ぎる快感に腰を浮かせて喘ぐ。 「あっ、んんっ……」  元来た道を戻る熱の塊に全身が痺れて、今日こそはと思っていた言葉が飛んでいってしまいそうになる。 「永絆……くっ、あんま締め付けんな……やば、いって……」 「んっ、あっ、だっ……てっ……あっ、やっ」  発情期のせいでいつもより敏感な身体は少し動くだけで電流を走らせる。知らず知らずに中を締め付けて藍を離そうとしない事に永絆自身、どうしたらいいか分からないまま快楽を拾っていく。

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