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第14話
この送迎だって藍のαとしての本能である、番を守るという性質からきているだけだ。または、他の人間に番にされたら藍のプライドが傷付くからかもしれない。
だから決して、油断してはいけない。誤解してはいけない。
もしかしたら藍は自分を番にしたいのではないか、なんて。
運命の番だからではなく、永絆という存在を好きだからだなんて。
もう昨日の様な思いはしたくない。置き去りにされる苦しみなんか二度と味わいたくない。
彼の事を好きだと本人に告げる事は一生ないだろう。ただ、今は彼がしたいようにさせて自分の事を飽きるか、αの本能を満たして満足させるかすればいい。
自分はその間だけ藍の運命でいる。
どうしても嫌いになれない。離れたくない。苦しくて仕方ないのに、傍に近寄れないのに、それでも番である事を望んでしまったから。
***
それから数日、送迎は一日も欠かさず続いた。
前野は永絆の講義の時間を把握しているのか、毎日家を出る三十分前にはそこに待機している。
帰りの時間だってその日によって変わるし、何か急に違う用事が出来て直ぐに帰れなくてもいつもちゃんと門の前で待っていた。
最初は目立って仕方がなかったその姿も何日かすると見慣れた光景になり、視線も集めなくなってきた。
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